さて既婚者にとって、大きな買い物をする際に最も障壁となるものは?
無論「金」は大きな問題ですが、ある種それ以上に大きな関門は
「配偶者の同意を如何にして得るか?」
これに尽きると言っても過言ではありません。
これが例えば「貴方が欲しい物を買うんだから私にも何か買って系」であれば、事は簡単です。
買えばいいだけの話ですからね。
しかし、うちのように
「そもそも極めて物欲に乏しく、新たな買い物をすることを極端に忌避する」
という、私の真逆を行く奇特な価値観を持つ相手を如何に説得するか。これは難しい。
例えばカメラの場合、仮にレンズが無尽蔵に増えたとしても、ライカのレンズは外見が極めて似てますから気付かれるリスクは低いです。またカメラ本体にしても同様に、ライカは外見が酷似してますから元々あったM8からM9-P、更にM3を追加したとても「同時に複数台ある状況」さえ見せなければ。そう「シュレディンガーのライカ」を維持し続ける限り、彼女の中で未だ私は「(M型ライカは)1台しか持っていない事」になっているはずです(たぶん)
…しかし、オーディオはそうはいかない。黙って買って誤魔化すのは不可能です。
難しい。どうにも難しい。
これまでの経験上、短期決戦は絶望的。ということで私は持久戦を展開しました。とにかく、今のBOSEのAWMがいかにダメかを分からせ、新規購入止む無しとなし崩しに同情させる作戦です。
というわけで私はこの1年以上、BOSEで、可能な限り音楽を聴き続けました。当然調子を崩していますから、最低1回、良い時(?)は2度、3度と再生が止まってくれるわけです。
その度に私は様々なパターンのリアクションを取ります。
・何も言わず淡々とかけ直す。
・打ちひしがれながら静かにかけ直す(往々にしてほんとに打ちひしがれてます)
・ごくまれに「あーもーいい加減にしろ!」と少し語気を荒げてみる(往々にしてほんとに(ry
と言うことを繰り返しているうちに、向こうから、そう向こうから
「修理できないの?」
の一言。来ましたねコレ。ええ待ってましたよほんと。
「…もう 1 5 年 も 昔 のだから修理も効かない」(超寂しげに)
「……そう」
…ここで深追いは禁物です。まだ早い。まだ慌てるような時間じゃない。その辺りから私は、オーディオ誌を読み始めました。で、カメラやその他雑誌とともにさりげなく、始めは1冊。そして徐々にその比率を高めていきます。そこまで来てから、例によってBOSEの再生が止まってくれたタイミングで
「…そろそろいい加減、新しいのを買おうと思う」
「…(無言)」
勿論、私はここで承諾を得ようとは思っていません。そんな甘い考えは毛頭ありません。
「明確な、揺るぎない意思表示をする」
これが一番大事。
また更に時間が経って。雑誌に交じって、ヨドバシから貰ってきた各種カタログも混ぜてみます。
「今度聞きに行ってみる」
「…(無言)」
まだ明確な肯定は得られません。得ようとも思ってません。
ただもはや、否定はされません。
これが一番大事。負けないこと。投げ出さないこと。そんな感じ。
事ここに至れば、外堀は埋まりました。あとは焦らず、事を慎重に進めるだけです。その後もずーっとBOSEは「いい仕事」をしてアシストしてくれたのは言うまでもありません。
知識もある程度つき、遂に配偶者の無言の消極的承諾も得ました。
さぁいよいよ、実際に聴きに行ってみましょう。
一体どこが「ハイエンドオーディオ入門」なのかさっぱり分かりませんが、まぁそれはそれ。
ハイエンドオーディオの歴史がまた1ページ。
※さて残念ながら書き溜めたストックはここで尽きました。
明日以降の連続更新は、うちの嫁が全面的に新オーディオ導入に賛成する確率より低いですから、ご覧頂いているごく少数の奇特且つ有り難い読者の方々は気長にお待ち頂きますよう、何卒宜しくお願いします。