衝動買いLeica M8と還暦間近の大口径レンズSummarit 50mm F1.5が果たしてどれほどのか。
前回に引き続きそんなお話です。
まずLeica M8
ライカが2006年に発売した、Mの名を継ぐ初のデジタルカメラです。2006年当時としては高性能だったのかもしれませんが、今となってはもう骨董品のレベル。1000万画素しかないCCD(!)高感度耐性皆無、完全マニュアルフォーカス。赤外線カットフィルタを薄くしすぎたために発生するマゼンタ被り。それを防止するためにIRフィルターをつけると今度は35mm以下の広角で周辺部がシアンシフト。欠点を挙げればきりがありません。もうゴミですねゴミ。
しかし。
実物を目の前にして、そして手にしたら、もう。
カメラ本体重量545gしかない軽量カメラのはずなのに、860gの5D3よりよっぽど重く感じます。
質感、というのでしょうか。感触が違う。作り込みが違う。金のかけ方が違う。例えて言うなら、国産車とドイツ車の違いです。日本のオケと昔のベルリンフィルの違いと例えても可。
よく分からない例え話は置くとして。
では、実際、撮ってみてどうなのか。
雨上がりの箕面の大滝に行って初撮影に臨みましたが
…難しいです。
私は、一応ではありますが、一眼レフに関しては最低限の使い方は分かっていると思ってますがレンジファインダー、というか、M型ライカは難しい。
ただし、面白い。極めて面白いです。
本当に「自分で撮っている」という実感があります。
物凄くありがちな写真。Summaritの開放です。等倍で見ると実にいい感じのふんわりした描写。若いリア充のなんかもう死ねばいい感じが実にいい感じに。
たしかF2.8で撮ったもの。雨に濡れた紫陽花を主題にしたかったのですが、後ろの橋と滝の存在が少し強すぎたか。難しい。
滝と紅葉。F5.6で撮影。今回の試写で最も驚いた写真。
これが本当に60年前のレンズなのか?この解像感と繊細さは一体?
今までこの種の描写はSummicron-R50mmが至高と信じてきましたがこれはそれを上回ります。それともローパスレスってだけでこうなるものなのか??
一段絞ってF2で。且つどこまで粘れるかシャッタースピード相当長めで実験。グルグルボケもF2のそれなら許せる範囲内ですね。
これも開放で。絵に描いたようなオールドライカ大口径開放の描写。そうですこれが欲しかったんです。
しかし、気持ち、長い。フルサイズが欲しくて仕方なくなる一枚。
というわけで、M8とSummarit50mm。面白いですね。
開放付近の柔らかくも癖のある描写と、絞った時の恐るべき性能。極端なまでに相反するキャラクターが同居する素晴らしいレンズです。これは使い甲斐がありますね。
…本来の画角で使いたくて仕方ないですが、それは、それだけは言わないでおきましょう。