改めニッサンGT-Rのワールドプレミアが東京モーターショーで行われまして、各種マスコミも色々報道してますね。ガイアの夜明けでも取り上げられてましたから、見た人も多いのではないでしょうか。
私も来週実物を見に行くつもりなのでこのネタは来週に書こうと思ったんですが生憎他のネタ(フィギュア)が結構グダグダだったので、これ以外にネタがないとも言う。
…さてGT-Rです(以下R)

V6の3800ccで480馬力の60kgm
各種寸法が4655×1895×1370で重さが1750kgホイルベースは2780とのこと。重っっ!!
まぁ私は別に0-400mがどうとか、最高速が300kmオーバーとかはどーでもいいですが、しかし、ニュルのタイムで7分38秒ってのは凄い。これは半端無く凄い。
普通の人には何のことかさっぱり分からないと思いますが、ニュルでこのタイムは本当に凄い。
何故ならば、ニュルでタイムを出そうと思うと「走りの全て」を要求されるからです。
トラクション性能、回頭性、高速安定性、制動力などなど往々にして相反する用件を極めて高度にバランスしないと速く走れない。
特に必要なのはトラクションです。といっても単なる加速性能ではなく、リアタイヤで曲がらないと速く走れません。
例えばニュルの前半のS字の連続や、カルッセルを抜けたあとに延々続く中速コーナーの嵐を抜けるには、まず回頭性の良さが必要です。アクセルオフか軽いブレーキでまず頭がコーナーの脱出方向に向く事。そしてそこからトラクションを掛けて抜ける。
コーナーの進入でアンダーが出るような足じゃ話になりませんし、トラクション掛けたらズルズルいくようでも話にならない。またニュル特有の常軌を逸したバンプをいなせない足じゃどこに飛ぶか分かりません。ストロークの長さも絶対必要。
しかしニュルは中高速コーナーだけではありません。300km級の超高速コーナーもあります。ここでは回頭性の良さが逆に死を招きかねません。何よりスタビリティが大切。
あとはブレーキの素性のよさですね。踏んでつんのめるようなのじゃ論外です。
要約しますと、低速コーナーからのトラクション性能、中高速での扱いやすさ、200kmから上の加速力、そして300kmオーバーのスタビリティ、そしてそれを止める制動力。
それらが全部必要と。もうレーシングカーの世界。
そんな全長20km、コーナー総数170とも言われる世界最高の難サーキットですが一般に8分台で走れば、もう優秀な車です。そして8分切れば超一級のスポーツカーです。
例えば
フェラーリの現行V8モデルF430は7:55
ランボのガヤルドで7:57
フェラーリV12FRの599GTBが7:59
ブガッティベイロン(1億7000万円)が7:40
となってますので、こいつらより「本当の意味で」速いわけです。
これは凄いと言わざるを得ない。
そんなRですが特に面白いのは駆動系です。トランスアクスルを使用したというのも国産初で大変素晴らしいですが、非常に奇異なのは、トランスアクスルからもう一度プロペラシャフトで前輪の駆動を戻している点です。プロペラシャフトが2本てwwwしかもカーボン製www
こんな意味不明な駆動系にするのは、恐らくフロントミドシップに拘ったからでしょう。前輪の駆動軸を確保しようとするとエンジン位置がどうにもフロントオーバーハングに掛からざるを得ませんからね。重さとメカの複雑さという難点を抱えても、とにかく重量物を真中に持ってきたかったのでしょう。また重心もかなり低く押さえたそうですし、苦肉の策ではありますが、その拘りは大変素晴らしい。
しかしミッションをデュアルクラッチにしたのは如何な物でしょうか。あれは確かに速いですが、如何せん重くてでかい。3ペダルにすればもっと軽くて楽でしょうに。
「誰にでも乗れる」
というコンセプトゆえの折衷案ですかね。技術者さん達の苦悩がにじみ出てます。
さて、そんなこんなでRは、掛け値ナシに第一級の動力性能を持つ車になったわけです。
ニッサンの技術者さんたちは「市販車最速」「ポルシェに勝つ」と言い切りましたが果たして、どうか。
ここで登場するのは、911ターボのバケモノ、現行997型GT2。

この車は、言うなれば「ポルシェの本音」です。
今のチャラチャラしたポルシェではなく、本気の車。走る事しか頭に無い1980年代までのポルシェの精神を21世紀の現代に持ってきた世界遺産です。
911ターボをベースに4WDを捨てRRのみにし、ATも切って捨ててMTのみ。エンジンは伝統のGT1系エンジンブロックです。なんかRB26に拘った昔のRみたい。
で、馬力は530。重さは1470kg。昨今の車にしては異例に軽いですね。
500馬力オーバーのRR、もう頭おかしいとしか思えません。こんなの電制がなきゃ走るわけが無い。
そんなGT2ですがニュルを走ったところ、そのタイムは7:32とのこと。
でね、恐ろしいのはですね、このタイム、PASM(アクティブサス)をカットしてのタイムなんです。
電制をカットした500馬力オーバーのRRでニュルをこのタイムで走る????
バイザッハの連中は魔法でも使ってるんじゃないでしょうか????
いやドライバーが強化人間????
…さて、まぁというわけで、残念ながらGT2には勝てないわけですが、NAの911やノーマルポルシェターボには勝てるわけです。
てかRってたったの800万の車なんですね。
ちなみにGT2は2600万www
今の自動車を取り巻くクソのような制約の中
「何時でも何処でも誰でも乗れて何よりも速い車」
という無茶コンセプトでここまでの物を作り上げたニッサンの技術者さん達は本当に凄い。素晴らしい。あんたたち漢だ。
今の時代に全く則さないかもしれませんし、誰もニュルのタイムなんて気にもとめないかも知れませんが、そんなもん知ったこっちゃありません。
本当に素晴らしい車です。
また個人的には、今開発中のRの特別版が、内装全部とっぱらって軽くしまくったGT-R=RSであることを切に願います。これであと200kg軽けりゃとんでもないことに。いやマジでGT2にも勝てる。
是非やってください。上のコンセプトのうちで「何よりも速い」に特化してください。日本から最強の車を作ってください。
まぁしかし「何よりも速い」となると、どうしても「ポルシェ」が立ちはだかりますね。
GT-Rの凄さを語れば語るほど、ポルシェの凄さが見えてきます。
Rの速さの理由は私でも色々推測できますが、GT2の速さの理由は分かりません。魔法としか思えない。有り得ない。
でもそんなポルシェにガチで戦いを挑める車が日本から生まれた事が誇らしい。素晴らしい。
さて色々と見てきましたがこれ以上の速さを目指すと、もう空力しかありません。市販車の限界、その行き着く先が見えるのも、そう遠くはないかもしれませんね。