「具体的にはディスクリート構成の入力バッファー回路、音量調整回路は増幅回路と一体化した“新LECUA1000”を採用。また独自の負帰還方式のODNFも最新のVer4.0という具合だ」
……なんの具合?
※「季刊オーディオアクセサリー」誌上のLUXMANプリメインアンプL-550AX2の解説文の一部(原文ママ)
…オーディオに対する知識不足を補うため、私は書店にてオーディオ専門誌を購入して読んでみたのですが、えー、全てのページが、大体こんな感じの文章で埋め尽くされています。
さっぱり分からん。全く分からん。何語?
ハッキリ申し上げて、今のオーディオ不況は業界側にも責任があると思います。余りにも排他的すぎ、余りにもマニアックすぎる。格ゲーやシューティングや音ゲーが寂れたのと同じ文脈です。
というか、そもそも。どんなに解説文を読み込んだところで、それは所詮「文字」に過ぎません。そこから「音」は全く聞こえません。あくまでも想像する他にありません。
これが例えば同様にマニアックな世界でも、カメラのレンズの話だとまだ分かりやすい。なんせレンズであれば、それで写した「作例」を見れば、レンズの素性は(ある程度の知識さえあれば)誰の目にも理解できます。
まぁ「レンガ」や「新聞紙」や「カラーチャート」を映してレンズ性能を語るあっちの業界もどうかと思いますが、それは置いておいて。
…まぁ文句を言っても仕方ありません。google先生やwiki先生の助けを目いっぱい借りながら、なんとか少しずつではありますが、耳年増ならぬ、目年増(?)的に「文章的知識」だけは少量ながら獲得して行きます。
で、なんとなく把握できたのは、この業界(ピュアオーディオ界)の音の方向性として、大まかに、極めて大まかに、且つ極端に言えば、だいたい二つの方向性がある、と言うことです。
一つは「原音再生系」
もう一つは「美音系」
美音系は分かりやすいですね。そのメーカーが定義する「美しい音」を作るために、ある程度、音に方向性を付与して鳴らす、そんな考え方。
例えばイタリアのスピーカー「ソナスファベール」なんかは美音系の最右翼。特に弦楽器や女性ヴォーカルに限って言えば「現実より美しい」とまで言われます(私の感想は【風雲篇】あたりで)
一方で、分かり易そうで分かりにくいのが「原音再生系」です。
てか、そもそも「原音」って何でしょう??
「ライブ演奏の完全再現」でしょうか?でも皆さんご存知の通り、ライブ会場の音って、超どデカいスピーカーから超ばかデカい音量で鳴り響いてますよね?「スピーカーから出た音を完全再現する」のが「原音再生」?
いや違うそうではなくクラシックならどうか。クラシックのコンサートなら楽器からの直接出た原音を拾えるか?しかし、これも残念ながら、クラシックのコンサートホールの音でさえ、スピーカーの音によるところが非常に大きいのは皆さんご承知の通りです。
では「スタジオ録音の音」を忠実に再現?これならまだ分かる気がしますが、スタジオ録音で昔ながらの一発撮りなんてものは、今日日存在しません。さんざ弄繰り回してあれやこれやと付け加えてますのでそれは果たして「原音」と呼べるのか?
…と、まぁ定義はともかく、美音系のような意図的な方向性を排し、録音データを忠実に音に変換することを目的とした音作り、と言えるようです。
なるほど理屈はほんの僅かですが、一応分かりました。雌伏の時を終え、実際に音を聞いてみたいと思います。
…が、その前に、私には越えなければならない極めて大きな関門があるのでした。
ハイエンドオーディオの歴史がまた1ページ。
……てかこれほんとに「その10」まで続けるつもりなのか。果たして完結するのか。
※さんざ文句を言った業界紙ですが、入門書として特選街特別編集「大人のオーディオ大百科」が大変おすすめ。
非常に分かりやすかったです。