ミッドナイトを愛読する割りに、私は「チューニング」には批判的な性分ですこんばんは。
自動車メーカーがどれほど膨大な、人、物、金を使って車を開発しているのか。そのことを少しでも考えれば、下手な改造は「ノーマル車」が持つ高度なバランスを、崩してしまうだけだとすぐに思い至るはずです。
例えばコーナリング性能を追って足を固めても、街乗りに支障はきたすわ、ボディはヤレるわ。或いはパワーを追ってエンジン弄れば、全てのバランスは目茶目茶に崩れ、それをバランスさせるために各部を弄っても、結局車の寿命を大幅に縮める事には変わりありません。
改造駄目絶対。
特に現代、21世紀の車ともなれば、もう、これはある種のブラックボックスです。
コスト管理が徹底的に行き届いた現代の車に「改造」の余地などあろう筈はありません。今の車のエンジンマネジメントは本当に凄いです。ターボが、一昔前の「高性能NA」並みの圧縮比で走ってるわけですからね。
そんじょそこらの改造屋がどうこう出来るようなチャチな代物では無いんです。
そう、今の車に改造は無意味です。
…では、大昔の車はどうでしょう?
CPUのセッティングはまだまだ甘く、エンジンは多くのマージンを持った余裕ある設計がされていた時代の車では?
例えば964なんかだと、CPUが漸く本格的に使われるようになった車ですし、エンジンに関して言えば、1989年にフルモデルチェンジされた「M64」エンジンは、それから7年間、993型にもリファインされて載ったほどのエンジンです。因みに私のカレラ号は250馬力、一方993型ターボは408馬力です。補器類その他は勿論まるで違いますが、エンジン本体は基本同じです。
余裕があるどころの騒ぎじゃありません。
そう、964のような、20年前の車になら幾らでも改造をする余地があるわけです。
…というわけで、カレラ号に「ROMチューン」を施してみました。
「ROMチューン」とは?
というか、そもそも車のエンジンって言うのは、燃料(ガソリン)と空気を混ぜて圧縮し、そこに火を点けて爆発させてエネルギーを発生させる「内燃機関」な訳ですが、そこで問題になるのは
「燃料と空気のバランス」と「どのタイミングで点火するか」なんですね。
で、昔はそれを機械的にやってた訳ですが、それじゃロスが大きすぎる、もっと効率的に、厳密に制御できないか?ってんで、コンピュータの出番になったわけです。80年代のお話。
私のカレラ号だと93年ですから、そりゃ黎明期に比べればマシかも知れませんか、それでもウィンドウズ95すら存在しない時代のモノです。化石のようなROM。
当然、マッピングは雑ですし、不必要なマージンもあるでしょう。
「燃調と点火タイミングの最適化」を制御ROMを交換することで行うチューニング、それが「ROMチューン」です。
普通、名の通った所のROMチューンって10諭吉以上はするものですが、私のお世話になってるポルシェ屋さんのオリジナルROMってことで、工賃込みで3万でした。安すぎwww
「約20馬力アップ、トルクの全域での増強、プラス400回転、7200まで回せます」
との店の人の話を、正直、話半分で聞きながら、まぁちょっとでも良くなるならいいや、くらいな感じでお願いした次第。
運転席の下にあるCPUを引っ張り出し、分解していきます。
こうなります。写真下の真ん中あたりにあるのが、交換後のROM
ROMです(これはノーマルのROM)原価500円のROMがお前を助けてくれるヨ…
さて、交換後、試運転と言うことで、店の周りを少し走らせたんですが…正直、ここまで変わるとは思いませんでした。
まず、アイドリングスタート時の気難しさが無くなりました。また1→2速も神経質に繋がなくてもスムーズに。
更に全域でレスポンスが大きく向上しました。
そして、4000より上のパワー。これはもう明らかに違います。速いです。確実に。
ついでにプラス400回転の「もう一伸び」が気持ちよさを助長します。
1速2速の全開加速は、正直怖いと思ったほど。
いやほんと。凄いです。
エンジンが本来持っている余剰分をほんの少し適正に使うだけで、ここまで劇的に変わるんですね。
ただし、これまで6800までしか使ってこなかったわけですから、調子こいてプラス400を使いすぎると絶対によくない事が起こりそうなので、あくまでもこれはスクランブルに留めましょう。
あと、免許を大切にしましょう。これは踏みすぎるw
昔の車に関して言えば、改造もアリ。
そう実感しました。
でも改造はもうこの辺にしましょう。これ以上は泥沼。ブラックバードは漫画の中だけです。