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少年老い易く

一寸の云々。というわけで2001年3月19日に始まりましたこの馬の餞は遂に20年を閲するに至りました。20年て。
当時生まれた赤子も今や成人です。あぁそう言えば最近は18歳で成人ですかそうですか。本当に色々変わるものですね。

20年。

当時大学生だった私も今や3児の父です。その間色々な事がありましたが、日記のように書き連ねてきたお陰で、その道のりを振り返ることができます。良いことも悪いことも…まぁ黒歴史が大半ですが、昔の自分がその時々で何を考えていたのか分かるのは、なかなか面白い物です。

さて、では20年記念に何を書くか。

思いついたのは自薦ベスト馬の餞的な、ベスト記事をランキング形式で上げようかと思いましたが、20年分振り返るのがしんどいので却下。色々考えた結果、ちょうど今、ここらしい、相応しいネタがありました。

シン・エヴァンゲリオン

…まぁいいじゃないですか。今更かっこつけても仕方ない。不本意ながら致し方ない。これも何かの縁です。可能な限りネタバレ無しで行きます。

さてそうですね。
私が初めてエヴァに接したのは、1996年5月24日でした。17歳の誕生日の翌日でしたから、日にちまで覚えています。その日、友人からテレビ大阪の本放送を録画した2本のVHSを借りた、たったそれだけの出来事、その軽はずみな行為が、私の人生を大きく、そして決定的に変えることになりました。
まぁ要するに、ドはまりした訳ですね。
あとはもう、あの当時、一般的なリアルタイム世代のエヴァオタが歩んだ道を突き進んだわけです。考察本にアニメ系雑誌、サントラから派生してクラシック音楽、キリスト教関連、LDプレーヤーを買ってディスクは毎回発売日に購入。特に21話「ネルフ、誕生」以降の新作カットには狂喜乱舞しました。
そして劇場版です。当時はシネコンなんてありません。座席指定などもってのほか。始発で京都祇園会館に向かい「Death & Rebirth」そして、「Air/まごころを、君に」を鑑賞し、私のエヴァンゲリオンは終わりました。

私の中で最高はテレビ版。旧劇はTV25、26話を「アニメーションとして究極に作り直したもの」という受け止め方でしたし、それは今でも変わりません。一般に旧劇のラストはエヴァオタに対し、アニメから現実へ帰れ、というニュアンスで捉えられてますし、事実そのような描写もありますが、私は別にそのような受け止め方はしていませんでした。ただ、エヴァ以後、エヴァに感化され粗製乱造されたアニメ群には全く食指は動かず、ごく一部の例外(ビバップ)を除いて、私がはまるアニメはなく、自然と、アニメからは遠ざかる事になります。
…それがかなり後になってヒョンな事からハルヒにはまり京アニ沼に…というのはまた別のお話。

さて、セカンドインパクトも起こらず、世の中は21世紀を無事迎えたその6年後、私がブラック企業で悪態つきながら働いていた頃に突如、庵野の「所信表明」なる噴飯モノの宣言と共に、今度は新劇場版が始まりました。
それ以降については、ここ馬の餞で何度も言及しているので、そちらを参照頂くとして、この2021年3月、ついに、ようやく「最後のエヴァ」となる「シン・エヴァンゲリオン」に至るわけです。

しかし、部下もいる社会人で家に帰れば(最近在宅メインですが)3人の子供がいる、そんな男が2時間半の映画をおいそれと見に行くわけにもいきません。レイトショーが精々です。土曜の朝にエキスポシティのHPを見ると、ちょうどIMAXの最後尾2列目ど真ん中に空席を見つけ予約完了。夜、子供を風呂に入れ、晩御飯を食べ、寝かしつけた後、カレラ号でエキスポシティへ。土曜のレイトショーだからかカップルが多く
その他も20代30代がメインで、我々の世代は圧倒的に少ない。映画が始まる前から「25年」という月日を否応なく感じます。

さて、では、シン・エヴァンゲリオンはどうだったのか。

……よかった。

「よかった」の前に「……」がつき、後に「!!」はつかない。そういうニュアンスです。しみじみ。そう、しみじみ…よかった。
庵野が言うように、エヴァは繰り返しの物語です。繰り返す。そう、繰り返すんです。高校生の私が祇園会館で見た「Air/まごころを、君に」
基本的にはその繰り返しです。ただ25年分の積み重ねがそこにはしっかりと存在していた。それが、しみじみ…よかったです。

TV版と旧劇場版を知らず、新劇場版のみを見た人が居れば、それはもしかすると昔の私たちが受けたのと同等の衝撃があったかもしれません。
シン・エヴァンゲリオンは、見る者がそれまで積み重ねてきたモノによって、受け止め方が全く違う映画だと思います。
つまりは「良い映画」です。私はそういう映画こそが「良い映画」だと思います。

映画が終わり、ほぼ無言でそれぞれの帰路につく観客。私はカレラ号で雨の中環を走り、コンビニに立ち寄ってエビスビールを買いました。
帰宅し、静かにバッハを聞きながら、ミサトさんへの手向けとして、静かにエビスを飲みました。
まぁなんだ、つまり要するに、25年は長く、私も年を取りました。でもそれも悪くない。そんなAM2時過ぎ。そんな映画です。

…とか感慨深い思いをしていますが、シン・ウルトラマンだとかシン・仮面ライダーとか言ってますね。ウルトラマンは超見たいです。ライダーはまぁどっちでもいい。個人的にはシン・ナウシカが見たい。それまでは死ねない。それまではここを続けたいと思います。ぼちぼちやりますので皆さん暇な時に見てください。これからもよろしくお願いします。