というフランスの車メーカーがあります。そこがこの度「C6」という高級サルーンを出したわけですが、この車を眺めていますと「いい車」の基準とは何か、非常に考えさせられます。
てか各種車雑誌で色々インプレとか書かれているようですね。
私が見たのは写真と諸元だけなんですが、そこから色々考えていくとこの車、本当に面白い。
私は「車」とは「走る」「曲がる」「止まる」が何より大切でそれがダメな車なんかゴミ。そういう考えなんですが、それに照らし合わせると、このC6はゴミ以外の何モノでもありません。
5m近い全長、1.9m弱の全幅、ホイルベースは3mに迫り、クソ長いフロントオーバーハングしかも駆動形式はFF、そして重さは1.9t
こんなモノまともに走るわけがありません。超絶大ドアンダー車になるに決まってます。しかもこのホイルベースでフランス車。もうボディ剛性なんてあったもんじゃない。曲がらないし止まらない。V6、3リッター程度じゃこの重さどうにもならん走らない。もうゴミ確定。
…そりゃシトロエン伝統のハイドロ+最近流行の電子制御漬けで足回りをドーピングし、更に後付の補強でボディ剛性「感」を演出…していることでしょうから、まぁなんとかマシな走りはするかもしれませんがんなものマヤカシです。3年3万キロ走ったら、目も当てられないようになること請け合い。なんせフランス車は小さく軽いプジョーでさえも「味」の賞味期限は極端に短いんですから、このデカサの車なら尚更です。
…さてしかしですね。
写真を見ますとね、何でしょうこの車。
このスタイル。完璧ですね。どこから見てもシトロエンです。他の何モノでもない。そして問答無用で美しい。
キャビンとテールを結ぶラインを見ると、その鼻先の流れは絶対にこうでなければなりません。即ち、このクソ長いオーバーハングはこのスタイリングを完成させるためには絶対のデザインなんです。そのお陰で、この見事なラインが、この一切破綻のない優美なスタイリングが完成される。
そしてこのインテリア。何ですかこれ。こーゆー木の使い方があったのかと唸りましたよこのドア周り。
デジタルメーターなのに安っぽさ皆無のインパネ周り。このホイルベースなら当然ですがこの広大なキャビンスペースは高級サルーンの室内かくあるべしと言わんばかりです。
ドイツ的高級車、イギリス的高級車、そして勿論日本の高級車には絶対にない風合いですね。
と、いうわけで、私は思ったんですよ。確かにこの車ゴミですが、しかし一方で宝石だと。
そもそもシトロエンを買う人間がドイツ的イギリス的日本的価値観を良しとするはずがありません。つまりですね、この車は、ドイツ的(ryな車作りの価値観を一切かなぐり捨てて、完璧に独自の世界を作り上げているわけです。
3年3万kmでヘタる?
シトロエンの、この「C6」に700万近い金が払える人間にとってどーってことありませんよそんなこと。
それよりこのスタイルこのデザインこの世界です。
何と潔いのでしょうか。
万能を目指して結局何の面白みもなくなるどこかの国の高級車とはえらい違い。
シトロエンC6。
間違っても人にお勧めできる車じゃありませんが、しかし間違いなく「いい車」ですね。