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随分と

引っ張ってきたカレラ号のインプレでもやってみたいと思いますこんばんは。
購入して早くも一ヶ月が経とうとしていますが、その間で約500kmくらい走ってみました。今日や先週の如く、休日出勤(即ちクレーム対応)の場合は、チャンスとばかりにカレラ号で行きましたので(勿論、現場からだいぶ離れた場所に停めますよw)結構距離が伸びた次第です。

さて、購入に際して書いた街乗りのインプレで、私はカレラ号を「普通の車」と書きましたが、勿論ウソです。
一般的な国産車に比べれば、ハンドルはクソ重いし、クラッチも物凄い勢いで重いし、ブレーキに至ってはサーボが潰れてんじゃないかってくらい重い。
更に回転落ちが非常に早いエンジンは変速の際に大変気を使いますし、また油圧の変化によってアイドリング付近のトルクも大きく変化しますから、コツを掴むまではアイドリング発進にかなり気を使います。その上、バックは驚異的にトルク細いです。しかも最小回転半径が5.6mもありますから、狭隘な駐車場で傾斜もあるなんて場合は、ほんともう嫌がらせかと。
私、アルピナ号に5年乗って、マニュアルにもだいぶ慣れたつもりでしたが、カレラ号のバックでエンストこいた回数は片手では収まりません。ただ単に下手糞とも言うw

つまり「普通の車」とは、昔のフェラーリとかスーパーセブンに比べて、「普通の車」という意味です。(ぉ

でも、流石に、だいぶ慣れました。
アイドリング付近の油圧を下げてしまう最大の原因は、信号の変わり目とかで有りがちな「ちょっと動いて止まってまた動く」ような状況、操作としては「半クラ→クラッチ切る→また半クラ」と言ったような場合です。従って繋ぐ時は一発で繋ぐことを心がけるだけで防げます。回転落ちの速さは、これはもうアクセル軽く煽って回転合わせるしか有りません。慣れです慣れ。最小回転半径の巨大さだけはどうにもなりませんが他は慣れでカバーできます。
てかちゃんと街乗りが出来るだけでも大したものですよ。フェラーリじゃこうは行きませんからね。

まぁ街乗りはもういいでしょう。山ですよ山。峠道。
勿論場所は宇治川ライン横の火葬場ルートです。2速トップエンド~3速主体。アップダウンが大きく、道は奇麗で、場所柄夜は誰も近付かないという素敵ルートです。

結論から言うと、私じゃ、この車。3割も乗りこなせません。

先日も書いたように、RRの911は基本的にドアンダーです。911を乗りこなすには、荷重をどうコントロールするか、リアタイヤをどう使うかが命なんですが、しかし。
私程度じゃ、リアタイヤではなく、フロントタイヤの挙動を追うので精一杯です。
とにかく、コーナー途中で逃げていくフロントタイヤをアクセルコントロールで手繰り寄せる程度しか出来ません。
おっかなびっくり乗ってるうちは、911はかったるい動きです。車検証記載の実質重量1380kgしかない車が重く感じる。そりゃそうです。フロントは外へ外へ逃げていきますからね。アクセル踏みつけても駄目な物は駄目。
先日4000回転を「普通の車」と「ポルシェ」の境界だと書きましたが、峠の場合、勿論回転数なんて物は関係有りません。ポルシェの本領を発揮させる方法は、ブレーキとアクセルコントロールです。勿論、コーナー進入時の。
で、先日も書いたとおり、911のリアを抜いてそれをコントロールする自信は1ピコグラムも持ち合わせてませんが、ほんの少し、ほんのちょっとだけ頑張って、進入時にちょっとフロント荷重を掛けた瞬間。
911は一気に普通の車から世界に冠たるスポーツカーに切り替わります。
恐ろしく、軽い。一気にヨーが付いてコーナリングが始まり描くラインは予想を大幅に超えてインに切り込みます。そこでアクセルオン。フロント寄りだった荷重が刹那でリアに移りCPを超え脱出に向かってトラクションが炸裂する。速いです。本当に。
そして、恐ろしいことに、私が恐怖を感じる速度域で走っても、尚その先があります。
いや、あるなんてもんじゃありません。
そこから先こそが、真の911の世界です。恐ろしく懐が深い。限界が全く見えません。911を911らしくドライブする、その扉の前に立っただけで、私のような下手糞には到底不可能だと思いました。
私程度ではアンダーをアクセルオフで消して楽しむくらいが関の山です。
こういう動きをする車は他にありません。無理やり探すと、カートに少し近いかもしれませんが。

まぁ何と言うか、この車の本当の顔を知りたければ、サーキットに行くことですね。そこらの峠道じゃ絶対に無理です。
危険すぎます。安全運転安全運転。

と言うわけで、私のへたれぶりが暴露されたインプレでした。

さて最後に面白い絵を

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奥に止まってるセルシオと比較すれば、カレラ号がいかに小さいかよく分かります。が
カレラ号の最小回転半径は5.6m、一方セルシオ5.2m(レクサスLSは大幅に悪化しましたw)

TOYOTAさんマジパネェッスwww

擬人化

は日本人特有の奇特な習性ですねこんばんは。
まぁ擬人化とまではいかなくても、物に固有の名前を付けるってのも、或いは日本人特有かもしれません。
私は前の愛車に「アルピナ号」という、そのままストレートではあるものの、何かちょっと愛嬌のある名前をつけてそう呼んでました。
で、今回も名前をつけてやろうと思ったのですが、これがなかなか決まらない。
「ポルシェ号」はおかしいし、「911号」も「964号」も、新手の人造人間みたいで何か違う。
「ポル」とかは漫画で既出ですから嫌ですし、「カレラ2号」じゃ間延びする。
…と、色々悩んだ結果、略して

「カレラ号」

にしました。
ポルシェ911のノーマル車に、最近では普通に使われる「Carrera(カレラ)」という名前ですが、元をただせば「カレラ」ってのは「レース」を意味するスペイン語です。
「カレラ・パナメリカーナ」
という50年代の公道レースがその由来。由緒あるその名をポルシェが911につけたのは、あの「ナナサンカレラ」こと73年型カレラRSが初代。
その後、74年のアメリカの衝突安全基準と排ガス規制(マスキー法)への対応のための「ビッグバンパー(俗に言う930型)」へのモデルチェンジに伴い、「カレラ」は911のトップグレードとして77年まで販売されますが、78年から83年までの6年間はカタログから「カレラ」の名前は落ちてしまい、その時代の911は基本的に「ターボ」と「SC」のみのラインナップです。
その背景に何があるかといいますと、当時のポルシェの逡巡があります。というのも

「RRなんてクソレイアウトやめちまえ運動inバイザッハ」
或いは
「アメリカで売れる車を作らないと死ぬ」

という非常にシビアな事情。
そんな時代に作られた「新時代のポルシェ」は「FRスポーツ」でした。
即ち、ポルシェ924(75年発売)ポルシェ944(81年発売)、ポルシェ928(77年発売)
特に5リッターV8をフロントに積む928は911の上位グレードとしての触れ込みでした。
「カレラ」のカタログ落ちと「928」の発売が重なるのは非常に象徴的ですね。

が、周知のように、世界が求める「ポルシェ」はあくまでも、あのカエル顔の「911」でして、せっかくクソ真面目に作りこんだFRポルシェは全部泣かず飛ばず。ポルシェ涙目。

で、よし分かったと。
テメェらみたいな成金馬鹿共はこれでも乗ってろ…とまで思ったかどうかは知りませんが、84年、それまでのシャシーとギアボックスに無理やり3.2リッターを載せたモデルに「カレラ」の名を引っ張り出して、911を大いに売り捌きました。
そして88年まで「カレラ」の名は使われ、私が乗る964型へのモデルチェンジ、つまり89年、量販ポルシェ初の4輪駆動登場の際に「カレラ4」とそれを名付け、一方で90年発売のRRの2輪駆動は「カレラ2」というように、名前で駆動方式を表す方法を取り、その後、空冷最後の993型、水冷初代996型、そして現行997型と、全て「カレラ」の名前はその法則で継承されてます。

「カレラ」と言う名前はこのように、ポルシェの紆余曲折を背負う大変奥深い名前でして、まぁ愛称に使用するのにはもってこいかな、と。

うん、まぁなんだ。ほんとは名前の話は軽く触れるだけで、峠道やらのインプレ話をしようと思ったのに、気づいたらこんな量になってしまいました。これでもだいぶ端折って書いたのになぁ…

因みに「カレラ号」って「迦楼羅王」みたいで厨二っぽいですよね。
あと迦楼羅王と聞いて二十八部衆ではなく、某漫画を連想した人は、迦楼羅飛天翔を食らって死にます。


……駄目だ。今日の話は色々な意味で一般人を余りにも無視しすぎました。以後気をつけます。ほんとかよ。

ついに

昨日、納車となりました。

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野望としてきた「20代でポルシェに乗る」をギリギリで実現できました。
因みに脱ダメ人生5ヵ年計画の3年次目標もこれでクリアです。

しかし、もう、何と言うか。行き着くところまで逝ってしまった感が我ながら。

ポルシェを運転しながらの帰り道、感激や感動は勿論ありましたが、同時に、もうこれで私が物質的に「絶対に欲しい」と思う物がなくなってしまった事による、妙な虚脱感というか感慨というか、言葉では表現しようの無い感覚に囚われました。
もう物質的欲求はこれで完全に満足です。にも関わらず何かこう、片手落ちなこの感じ。
マズローの欲求階層論は本当に正しいなぁと意味の分からない事を思いながら帰ってきました。

さてそんな話は別にどうでもよく、じゃあポルシェ911(964)は、実際はどういう車かというお話。

まず、小さいです。カローラよりも20cmほど短く、3cm狭く、15cm低いそれぞれ
4245mm、1660mm、1310mm
因みにホイルベースは2270mmしかありません。カローラ比330mmマイナスw

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ホイルベース(前輪と後輪の距離)が短いのがよく分かる図

今の感覚で言うととにかく小さな車です。重さは1380kg、これも現代の肥大した車に比べれば望外に軽い。そこに3600ccのエンジンをリアオーバーハングに吊るして走るわけです。
結果、前輪加重540kg後輪加重840kgというギャグとしか思えない超絶リアヘビー。
前後重量バランス?何それ?食えるの?www
今まで限りなく50:50の車にずっと乗ってきた人間としては車検証見た時吹きましたね。

これだけショートホイルベースで、無茶苦茶な重量バランス。数字だけ見てたらまともに走るわけがないのに、しかし、走ると凄い。本当にバイザッハの妖怪達は魔法でも使ってるとしか思えません。

さて能書きはこの辺にしてハンドル左にあるキーホールに華奢なキーを差し込んでセルを回しましょう。
数秒のクラッキングの後、後方から空冷水平対向6気筒エンジンが咆えます。まさに「咆える」という表現が適当な音。現代の感覚で言うと間違いなく五月蝿いです。私のマンションの駐車場に停める時なんか気が引けるくらい。

やたら反発力のあるオルガン式ペダルのクラッチを踏み込み、シフトを1速に入れます。かなり硬質なシフトフィール。まさしく鉄の棒を操作している感触です。
徐にクラッチを上げていきます。しかしなかなか繋がらない、もうちょっと上げる。まだ繋がらない。更に上げる、ようやく、半クラになります。アクセル上の右足をほんの少し、親指に力を入れるくらい少しだけ
アクセルを煽り、スルスルと発進。頭を下げてくださるお店の人に礼を言いながら、店を出ましょう。

大通りに出まして1速から2速へ。どうにもクラッチのミートポイントが浅いので感覚的にズレますが何とかシフトチェンジ、アクセルをゆっくり踏み込みます。ちゃんと普通に走ることに感動します。
2速→3速は比較的簡単。これはどんなマニュアル車でも共通ですね。普通に流れに乗って普通に走る分にはこの車、エンジン音が大きく、他は足が若干硬いくらいでしょうか。本当に普通の車です。
左に仁徳天皇陵を眺めつつ(大仙古墳と呼ぶべきでしょうか?)市街地を走り抜け、阪神高速堺線に乗ります。わざわざ手に入れたETCカードが役に立ちますね。
さて阪神高速随一のワインディングコースである堺線ですが、残念ながら車が多く、流れに乗ってゆっくり走るしかありません。で、ゆっくり走る限りにおいて、この車はただの普通の車です。
環状線、更に池田線も同様。全く踏めない。で、踏まない限り(ry

さて、豊中から名神に乗りましょう。しかし名神も車が多い。ゆっくり走るしかありません。が、時折前が開くのを見計らって踏んでみましょう。4速からクラッチ切って、アクセルを煽り、3速へシフト。
タコメーターは4000を示しています。ここが分水嶺。普通の車から「ポルシェ」に変わる時です。
アクセルを踏み込むと、この時を待っていたとばかりエンジンは咆哮し、それに呼応して狂ったように回転数と速度計が上昇します。一気呵成。数秒で3速を吹け切ります。4速シフト。と同時にトラックのコンボイに捕まり、ブレーキ。このブレーキが効く。本当に効く。ガツンと。で、また流れに乗って巡航。
ちょっとして、手にじっとりと汗をかいてることに気が付く。…この車はタダモノじゃないと。

緩慢な名神を忍耐を持って走り、天王山トンネルを抜け、そこから京滋バイパスに乗り換えます。
で、京滋バイパスの大山崎ジャンクション近辺は、400R~600Rが連続する超高速ワインディングです。
さて、踏んでみましょう。
3速では賄いきれません。4速へ。
普通に走る限り、速度がどうであれ、この車は徹底したニュートラル→アンダーセッティングです。
私がいつも営業車のパッソで走る速度(40)より20~30上までくらいなら、何も問題はありません。もっと積極的に曲がっていこうと思うと、どれだけフロント加重を増やすか、という事なのですが、911のリアを抜くなんてマネを4速の速度域でやって、それをコントロールする自信など1mgも持ち合わせていませんので、車任せのイージードライブ。それでもバカっ速。これ以上何を望むかというレベル。

さて京滋バイパスは久御山ジャンクションを抜けると、旧小椋池を干拓した巨大な水田をぶち抜く、弾丸ストレートになります。
では、踏んでみましょう。
4速を踏み抜き、5速へシフト。大台を超える辺りから、この車が、超リアヘビーのRRだと実感させられます。
即ち、どうにもならないフロントリフトの始まりです。前輪の接地感が無くなっていきます。リアタイヤでウィリーして走る感じ。直線ならいいですが、これでコーナリングとか死ぬなぁと思いながら、20、30まで引っ張って、最寄の宇治西出口500m看板を超えてからからブレーキ。これがやはり効く。流石。

で、無事に家に到着。駐車場に停める。しかし、これが難儀。とにかくハンドルが切れません。全く小回り効きません。
何せ最小回転半径が5.6mもあるですよこの車。つまり、カローラより小さいくせに、レクサスLS(セルシオ)とほぼ同じてwww
……そりゃなぁレーシングカーはUターンしないもんなぁ
これだからレースカーを作る理屈でロードカー作る連中は。

と、そんな感じで帰りの市街地、高速ドライブを完了しました。街乗りの範囲では本当に普通の車です。
しかし4000超えると化けます。

宇治川ラインを走った感想は、長くなったのでまた今度。


おまけ
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純正車検証入れ(革製)どんなポルシェ本より詳しい全120ページに及ぶマニュアルと、キー。このキーについてる銀色のクレストは絶版になっていて貴重とのお話です。

高級車の

内装と聞いてイメージするのはどんなものでしょうかこんばんは。
例えば革張りのシートだったり、木をふんだんに使ったインテリアだったり名の通ったメーカーのカーステレオだったり、まぁそんな所でしょうか。

因みに「フルレザーインテリア」だとか「ウォルナットのインパネ」とかを見た時、多くの人は本当に本物の革や木を使っているんだと思われるかもしれませんが、実はそうではありません。
フルレザーと言いながらも、多くの部位でビニールが使われてますし、木目と呼ばれる物も、表層のほんのコンマ数ミリの木目を貼り付けたものに過ぎません。
実際に内装全部本物の革を使ってるのはフェラーリやアストンの上位車種、そしてロールスくらいのものです。
木目パーツも同様。本物の「木」を使ってたのは昔のロールスやモーガンくらいで、他は全部継ぎ接ぎです。

さて、そんな裏話はどうでもよく、要するに「高級車の内装」に対して広く一般のイメージってのはそんなものでしょう。で、そーゆーのが「金のかかってる内装」だと思われがちです。

だからでしょうか。よくポルシェの内装に対して

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「1000万円の車とはとても思えない」
「貧相でチャチなインテリア」

という類の話を聞きますが、まぁ何と言うか

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「お前は何を言っているんだ?」

確かに996の内装は本当に金の掛かっていない驚くべき安物ですが、それ以前のポルシェのインテリアは死ぬほど金がかかってます。革の設えや、立て付けの恐るべき精度もそうですが、何よりも凄いのはその全てのパーツの剛性です。

例えばシート。革かファブリックかなんてのはどうでもいいです。凄いのはその構造。
鋼製のフレームをふんだんに使ってるシートなんてそうそうありません。更にシートの保持剛性の異常な高さ。
揺すろうが蹴飛ばそうがビクともしません。流石はレカロ。
或いはハンドルもそうです。993までのポルシェのハンドルはチルトもテレスコ(ハンドルの上下前後を動かす機能のこと)もありません。超高剛性。叩こうが殴ろうが微動だにしません。
そんなハンドルではドラポジが決まらないように思えるかもしれませんが、これが簡単完璧に決まる。凄いです。
並みの車ではこうはいきません。例えば、私が毎日乗ってる営業車のパッソなんか、何をやろうが全くドラポジが決まらず本当に不愉快です。私の体型で決まらないってことは、世の半数の男性と9割くらいの女性は駄目ってことですよ?パッソは女性をターゲットにした車でしょう?
それがこのクソレイアウト。バカなの?死ぬの?
だから私はトヨタが嫌いなんですよ。分からない人を馬鹿にしたような車作りなんて絶対に許せません。
…閑話休題。ポルシェに戻ります。
勿論シフトの感触も剛性の塊。アクセル、ブレーキ、クラッチのタッチも同様です。手に触れる全ての物が超高剛性。
シートに座っただけで「流石」と思うのは、ポルシェの他には、あの伝説の500Eくらいのものですね。

つまり要するに、こけおどしの見た目ではなく、突き詰めようとすると本当に金がかかる箇所で本当に金かけた作りになってます。有り得ないコストの掛け方。内装を一通り触っただけで
「そりゃ経営傾くわw」
と思わず笑えるくらい金掛かってます。いやほんと。いいなぁ古き良き機械は本当にいいです。

ただ、そんな変態にとっては素晴らしい内装ですが、唯一の問題が。

車の中の匂いが、アルピナ号と全く一緒。

……乗り込んだ瞬間に、顔が引きつりました。いや、嫌いな匂いじゃないです。寧ろ好きなんですが何と言うか、まぁ例えるなら、新しい彼女が元カノと同じ香水使ってたと言えば、ご理解頂けるかと思います。
しかも酷い別れ方をした相手ときたもんです。良心の呵責に苛まれて仕方ありません。
これが人間相手なら
「いい香りの香水だねーでも俺こっちの方が好きかなー」
とか適当な事言って変えさせることも可能ですが、相手が車ですからそうもいきません。
かといってオートバックスで売ってるような鼻がもげそうになる車用香水なんて嫌ですし……ファブリーズか。そうか。
まぁおいおい考えます。或いは時間が解決してくるか。いろいろな意味で。

さて、最後にシートのお話でもう一つ。
このレカロのシート、フルに倒せば、ちゃんと寝られました。素晴らしい。
これで鈴鹿車泊も万全ですw

契約

というか、アルピナ号の査定で、件のポルシェ屋に行ってきましたこんばんは。
大変遺憾ながらドナドナとなるアルピナ号の査定額は、まぁぼちぼちこんなもんだろうという額でした。20年落ち12万kmのクルマですから、ね。

さて、憂鬱な話題は置きまして、ポルシェのお話。

今回の購入に辺り、所謂「中古車購入の鉄則」と呼ばれる諸々は悉く無視しました。
よく言われる鉄則とは「1台じゃなく複数台見ろ」とか、「そのクルマを知ってる友人知人と行け」とか「試乗は絶対」とか、まぁそんな類です。

ところが私の場合、気になる個体をネット見つけて、仕事の外回りの途中にフラりとポルシェ屋に立ち寄って、ガレージの奥にシートかけてしまってあった964を一通り見て、店の人と一通り話して、試乗もせずに

私「じゃあこれください」
店の人「え?」

我ながら豪気すぎるw

いやだってさ。実物を見に行ったのは今回の一回限りですが、ここに至る5年間、ずーっとネットでありとあらゆるポルシェの出物のチェックは欠かしませんでしたし、正直、私以上にポルシェ(964)を知っている友人知人なんか居ませんし、試乗に関しても、前オーナーの維持管理と納車整備さえしっかりしてくれればする意味無しと割り切っていたからです。
実際、私が購入したこの車、初めて見に行った時、エンジンかかりませんでしたw
普通の人ならドン引きでしょうが、私のような変態になると

「エンジンかからない?原因は何です?フューエルポンプ?あー有りがちですよねw新品入れてくれる?うはwサーセンw有難うございますwww」

この精神構造でないと20年近く昔のドイツ車には乗れません。

まぁ何と言いますか、ドイツ中古車を延々乗り継いできた私が思う中古車購入の極意は何よりも

「信頼できる店を見つける」

これに尽きます。
私達はどれだけ本やネットで知識を蓄えても、所詮は素人。プロには全く適いません。
頭でっかちな素人を騙すくらいプロにとっては朝飯前のボロモウケ。引っ掛ける手段は枚挙に暇がありません。
だからこそ、その店の人が信頼できる人間か否かを見抜く事こそが、私達素人にできる唯一にして最大の自衛手段です。
で、最近はネットのお陰で、色々な声を聞けます。
私が門を叩いたお店は、私がネットで探す限りにおいて、何一つボロは出ませんでしたし、実際店に行って店の人達と接してみて、まぁまず間違い無いと思える方々ばかりでした。
なので、私の浅薄なポルシェ知識など振りかざす必要は無いと腹をくくり、あとは見た目(つまり内外装)のみで決めようと思って、見に行ったわけです。
で、文句なく美しく、且つ、諦めていた諸々(92年以降のモデル、ノーマルに近いほど良い等など)も有り得ないほど満たしてくれていたので、即決したと。
端から見たらただの馬鹿ですが、そこに至るには様々な思惑があっての事だったわけです。

さてさて御託はこの辺にして、この車の納車整備ですが

・タイヤ新品
・デスビOH、デスビキャップ新品
・オルタネーターOH、バッテリー新品
・クラッチOH
・フューエルポンプ新品
・各ベルト類、油脂類全交換
・リアウォール(可変ウィングについてるパーツ)新品
・ショック交換後2000km(調べたら前オーナーが換えてました)
・ブレーキパッド、ディスク交換後2000km(前オーナー多謝)

などなど、全部車両価格に含まれてました。すげぇ。普通に金払ったら7、80万はくだりません。
なんとも有りがたい話です。
ですので、私が追加でお願いしたのは、青空駐車対策のボディーカバーと、キーホルダーだけでしたw

というわけで、ここに至るまでは一部の隙もないポルシェ購入話。
あとは車庫証明を警察に取りに行けば全ての書類が揃います。
でも警察の車庫証明の部署って、平日だけなんだよな。どうしたものか。まぁ適当に何とかしましょう(ぉ

…内装の話をしようと思ったのですが、長くなってきましたので、また今度。

二度に

渡って書きました自動車産業のお話と「価値観」のお話でしたが、それを前振りにして、一体何を私がオチに持って来たかったかと言いますと…えーっと、まぁなんだ、ついにある決断をしました。

次期マイカー選びに関してです。

もうお分かりだと思いますが、ポルシェを買うことにしました。

アップロードファイル 474-1.gif

964型ポルシェ911カレラ2です。

ポルシェが
「コスト?何それ喰えんの?www」
ってクルマ作りをしていた時代の最後のクルマです。
(まぁ厳密にはコスト意識は若干あるんですが、993以降のに比べればまだまだおおらかな頃でした)

思えば5年近く前、お客さんの911を運転させて頂いて以来、私はポルシェの魅力に取り憑かれた訳です。ほんの5分かそこら走らせて貰っただけでしたが、あの感触は未だに忘れられません。
その後数え切れないほど本や雑誌を読み、事あるごとにポルシェ欲しいと喚き散らして今日に至るわけですが、しかしまさか本当に買うことになるとは思いませんでしたね。

モノは93年式です。つまり964の最終型ですね。RRでMTなのは言うまでもありません。
ミツワ物(ディーラー物)でワンオーナー、距離は10万ほどですが、10万以下の表示がされてる巷のポルシェはほぼ全部メーター巻いて(戻して)ますから、距離は気にするに値しません。重要なのはメンテ履歴です。
因みに、内外装恐ろしく奇麗です。走行5万とか言われても普通に信じるくらい。
大阪のポルシェ専門店でずーっと面倒見ていたらしく、前のオーナーはお医者さん。なんともポルシェらしいお話。
で、私が一番気に入ったのは、この車がドノーマルだってことです。
メーカーオプションの17インチこそ履いてますが、それ以外は何も弄ってない。ポルシェは本当にグチャグチャに弄られるのが多くて、私はそんなのは絶対にイヤでしたからね。
因みにサンルーフも付いてません。素晴らしいです。私はスポーツカーの屋根に穴を開けるなんて剛性下げるわ稼働部品で重量増だわで最悪だと思う変態ですので、前オーナーの見識に恐れ入ります。
また、オーディオも純正のカセットテープです。素晴らしすぎる。走ること以外何も意に介していません。
勿論、カーナビだなんて軟弱な物もついてません。唯一ETCは付いてましたが、まぁその位はいいでしょう。

これから納車整備に当たっての話を詰める訳ですが、取り合えずタイヤと足回りは新品にします。ポルシェの命ですからこれは絶対。あとはなんだ、ブレーキホースをステンメッシュにするかな。そのくらいかな。
これから色々書類を揃えたりで、契約は月末、納車は恐らく来月末くらいでしょうかね。
詳しい話はまた追々していこうと思います。

あと残念ながらアルピナ号は手放すことにしました。
流石にこの2台を維持するのは無理です。

…なんか物凄い憂鬱。閉鎖空間が生まれるくらいに。

念願のポルシェを手にするのに、テンションが上がりきらないのはこのせいです。
ごめんアルピナ号。申し訳ない。本当に。私にもっと財力があればなぁ…

てか私の車人生を振り返ると
BMW、アウディ、アルピナ、そしてポルシェと来ました。
なんだこれ。有り得ない。自重しろ。
いくらクルマ好きとは言えこれは少しやりすぎなような気がします。
因みに今回のポルシェ購入費も合わせると、私が今までの人生で車につぎ込んだ金額は、1000万に限りなく近いです。

……そりゃ金ないわ。

まぁでもこんな馬鹿をしていられるのもこれが最後でしょうねw

やりたいことは出来るうちにやっとく。
やらずに後悔するよりやって後悔する。
好きな車を手に入れるのに必要な物は「気合」と「実印」

酷い人生哲学ですねw

続・狂信的ポルシェ物語

そんなわけで私はポルシェと言えば空冷RR、無論MT以外は認めません。
まぁある種、宗教ですね。「空冷911教」
これはかの「大乗フェラーリ教」とタメを張る2大宗教だったりします(ほんとかよ)
さて一般に宗教には宗派が枝分かれする物です。
空冷911教にも、もちろん宗派があります。大別すると

「ナロー至上主義派」
「930までが真の911だよ派」
「964はヒストリックとモダンのウェルバランスだよ派」
「最強の空冷993がいいよ派」

となります。
改めて見ると、どの宗派の教義にも説得力がありますね。しみじみ。

しかし、こんな大まかにまとめられるほど単純ではありません。
例えば同じ「ナロー至上主義派」をもう少し細分化しますと

・オリジナル911至高派(ショートホイールベース派)
・切れ味至上主義派(2リッターまでだよ派)
・汝、Tを侮る事無かれ派(福野礼一郎派)
・最後のナローが最強だよ派(RS伝説派)

があります。そしてこれまたどの派にも説得力があるわけです。
さて930になりボディ形状が増えるともう無数に派閥が広がってしまい、とても書ききれませんが無理を承知で930ちょっと見ていくと

・3リッターエンジンはバイザッハの偉業だよ派(環境対応派)
・SCの軽さがいいよ派(3.2はかったるいよ派)
・ポルシェシンクロ以外認ないよ派(86年をもって911は終わったよ派)
・結局最新が最良だよ派(88、89年モデル派)
・ターボ至上主義派(930ってのは本来ターボの事なんだよ派)

となるでしょうか。引き続き964の詳細。

・ミラーがダサいけど金かかってるんだよ派(テールライトが結露で曇るよ派)
・92年型をもって964は完成だよ派(最大派閥、カレラRS派も内在)
・ターボは3.6しか認められないよ派(ブラックバード派)
・3.6ターボなんかに負けないよ派(ターボSを舐めるなよ派)
・ターボボディで4駆って最強じゃね?派(30周年記念派)
・最強の4駆は俺だよ派(カレラ4ライトウェイト派)
・スラントノーズが最高だよ派(モビーディックかっこいいよ派)
・勝手に俺のウィングを流用するなよ派(964最強はRS3.8系だよ派)

となりますね。993はあんまりシラネ(すいません)
無理してあえて書くと
・リサイクルは地球に優しいよ派(おかげでぼや騒ぎ派、都市伝説?)
・勝手にDMEリレーを流用するなよ派(みんなのパーツ屋派)
・4駆のターボなんて認めないよ派(GT2派、楠みちはる派)
・何だかんだ言って空冷最強は993だよ派(最大派閥)
でしょうかね。

さてそんな私は基本的に964派(92年型をもって~)です。
ただ930ターボは捨て難い。特に5速の最終モデル。

…あぁポルシェいいなぁ

というかせめてこういう話ができる相手が欲しい。かわいい子だったら最強(いい加減諦めろ)

……てか上記をご理解いただけた方がもしいらしたらお知らせください。
男女問わず私大変喜びます。

基本的に

私は人の趣味やら嗜好やら価値観やらをとやかく言うことはありません。
犯罪行為や他人に迷惑かける行いで無い限り、別に何を好もうがそれは個人の勝手ですからね。
しかし唯一、どうにもこうにも許せないことがあります。それは何か?

ATのポルシェ

です。
これだけは絶対に許せません。そんな人間はポルシェに乗るな。
まぁカイエンみたいなポルシェもどきならどーでもいいですが、ボクスターやケイマンでATはどうかと思います。況や911ですよ。911をATで乗るなんて意味が心底わからん。

別に私はMT厨ではありません。AT大いに結構。私だってアルピナ号の前まではAT乗りでした。また現行911ターボのATはMTより速いことも知ってます。

しかし、それでもダメです。

何て言うかね。ポルシェって、ハンドルを握ってみると分かりますが、あれはヌルい運転をしてはいけない車なんです。
技量の巧拙は問題ではありません。巧い人間も下手な人間も911の前では等しく己の全身全霊をもってドライブしなければなりません。
車がそう言ってます。いやほんとに言うんですって。ていうかその声を聞けない人間は乗るな(ぉ

それをATて。

クラッチとシフトレバー、インターフェイスを二つも失ってしまっては致命的に感覚が薄れます。更に救い難いのはトルコンの、あの構造的についてまわる「滑り感」です。
ダメですそんなの。有り得ません。
薄味でやわなポルシェなんて全く意味がありません。

ポルシェを片手片足でチャラチャラ乗るな。
ポルシェのブランドが欲しいだけなんて輩は乗ってくれるな。

…とは言え、そういう輩のお蔭で、今のポルシェの経営が成り立っているんですけどね。
事実911の8割以上(一説には9割)がATです。
964で初めて導入されポルシェの門戸を大きく開き、996でターボにまで搭載されるようになり997ターボでMTを加速性能で抜き、今後はDSGへの移行もあるとかないとか。
経営的にも性能面でも今やATは必須です。

でもね。違うんですよ。そーゆーんじゃないんです。

なんつーかさぁ4駆にATて。

もうポルシェである必要ないじゃないですか。

そんなにブランドが好きならコンチネンタルGTにでも乗れっつーんですよ。
911ターボと金額差は数百万です。楽勝でしょうその世界の人にとっては。

…街中を走るATポルシェが調子崩してる様子を見ると本当に悲しくなります。
一方で元気に走る古いポルシェを見ると大変喜ばしいです。

100000歩譲ってATでもいいですが、せめて維持管理くらいはしてあげてください。
そのくらいできない人はポルシェに、いや車に乗らないでください。

以上ここで言っても仕方が無い偏執的ポルシェ好きの愚痴でした。


※ポルシェを愛してるけど何かしらのハンディキャップがあってATしか乗れないって方は別です無論。

スポーツカー談義、その3

さて、前回、前々回とスポーツカーのお話をしました。
スポーツカーを自縄自縛に陥らせる原因はマーケティング偏重にあるというお話でした。しかし、スポーツカーを縛るモノはマーケティング以外にもあります。数え上げればきりがないですが、例えばブランドもそうです。
ブランドの維持増進の為に、全くおかしなことが起こり得る。
今回はそんなお話。

どういうことか。

スポーツカーと聞いて誰もが思い浮かべる「ポルシェ」というメーカーがあります。私もポルシェ大好きです。「RRの空冷911命」というポルシェ原理主義者の一人です。
しかしですね、ポルシェはスポーツカーかと問われれば、実はそうとも言えません。これは以前にも書きましたが

911という車。その前身はポルシェ356という車です。そのポルシェ356のプロトタイプは「運動性」の為に、要するに「スポーツカーたらん」としてMR(ミドシップレイアウト)を採用しました。
因みにF1の世界初ミドシップはクーパーですが、ミドシップレーシングカーの嚆矢はポルシェ博士作のアウトニオンPバーゲンです。ローゼマイヤーが駆りニュルで絶対不可能と言われたラップタイム10分を切った伝説のマシン。クーパーの軽く20年昔の話ですね。

話がそれました。じゃあMRだった356が何故RRになったか。
「移動距離の長いヨーロッパにおける、富裕層の人々の「早く快適に移動したい」というニーズ」
これです。MRだと2人乗りです、どうにもなりません。でもRRにすりゃなんとか4人乗れる。荷物も積める。更にRRなら「カブトムシ」ことフォルクスワーゲン・ビートルのエンジン周りも継承できる。いいことずくめ。
つまり要するに、911(356)は生まれた瞬間からマーケティングに魂を引かれた車。即ち、GTカーでした。
じゃあ何故GTカーとして生まれた911がスポーツカーの雄と呼ばれるまでになったのか。
それはレースでの圧倒的な強さでした。ビートルのロイヤリティがVWからポルシェに入るという仕組みにより、潤沢な資金を持ったポルシェはレース界を席巻。
911のかっこを連想させるマシン、例えば935ターボ、シルエットフォーミュラにおいて無敵。
ポルシェはレースという世界で強さを見せ付け、それを上手く911の派生モデルに結び付け、そしてそれがブランドとなりました。
911の「あの形」が「ブランド」になったわけです。

しかし70年代末、ポルシェは悩みます。VWの主力がビートルからゴルフに移りパトロンが消えてしまったんです。もう911だけじゃどーにもやっていけない。
だから脱911を図り924、928を作ったわけです。
FRの真剣なスポーツカーですね。
また914も作った。MRでコストも考えたスポーツカーです。
しかし見事に全部コケました。
何せカッコが911じゃない。「ポルシェじゃない」からです。
世界中の人が望んだのは、あの形、あのブランドでした。

ポルシェは真面目すぎたんです。真面目に愚直に頑張った。しかし世の中に認めてもらえない。911しか売れない。でも911だけじゃもう無理。
どーするか。どーにもならん。身売りするか?
切羽詰った90年代初頭、救世主が現れます。トヨタです。
ポルシェはトヨタからコスト管理を学び、そしてそのブランド力を生かす方法を学び、マツダ・ロードスターが切り開いた新天地「オープン2シーター」の世界に、911そっくりの車「ボクスター」を叩きつけた。
これが大ブレイク。
ポルシェは一気に復活し、今や押しも押されぬ優良企業です。

さてしかし、ジレンマが生まれます。911という神様は、しかしぶっちゃけダメ車です。上記のように基本からしてなってない。ここまで走ることが奇跡です。スポーツカー的な車を走らせる技術において、ポルシェは間違いなく世界一。だからこそRRなんて欠陥レイアウトが未だに世界第一級の車なんですが、しかし困ったことにボクスターはMRです。
MR。車にとって一番重いエンジンが中心にあれば、そりゃ運動性能いいですよ。重量配分もいいですよ。全部上手くまとまる。
生まれた瞬間からボクスターは911を超える車なんです。
しかし「神」を超えてはいけません。超えた瞬間「911教」は崩壊し
ポルシェブランドは崩れ落ちます。それはできない。
そのジレンマ。その「ブランドの維持」のために、ボクスターは、そしてボクスターより更に素性が良いボクスタークーペ・ケイマンは、911を超えないように捻じ曲げられる。

…おかしくないですか?これは絶対におかしいです。
「スポーツカーを、遅くなるように作る」
こんな馬鹿げた話が、こんな矛盾がありますか?

こんな意味不明な、おかしなことが行われるのは全て「ブランド戦略」に起因します。ブランドが本質を侵食し、捻じ曲げる。

さて一方でポルシェと双璧をなす、いやブランドという意味ではポルシェをも凌ぐ「フェラーリ」はどうか。
モンテゼモロが社長をやって大改革をした結果、今のフェラーリは昔のフェラーリではありません。

「フェラーリは(車じゃなくて)フェラーリ」

なんてフェラーリ信者(私含む)以外には通用しない教義を持ち出す必要も無く、誰がどう見ても、スポーツカーとして第一級です。
確かにデカイです。デカイですが、考え抜かれた構造です。それ故バカほど高いわけですがね。
つまり、ポルシェがブランド戦略に拘泥している間に、フェラーリはその自身の絶対のブランドに甘える事無く大改革を行い大躍進を果たしたわけです。そりゃF1でも勝ちますよ。

フェラーリがついに「車として」ポルシェを抜くか!?

F430はその試金石でした。そしてそれは勿論素晴らしい車でしたが
しかし、最新型の911(997型)ターボ及びGT3は蓋を開ければやはりトンデモナイ化物でした。
またしても「最新のポルシェは最良のポルシェ」を実践してみせたわけです。ブランドに本質を侵食されつつも、無茶苦茶な基本レイアウトでも、技術者の意地と根性と超能力(?)で世界最高であり続ける。
見上げたもんです。流石です。
バイザッハ研究所のオヤジ達は妖怪ですね(ぉ

私はケイマンやカイエンのようなブランド商売は好みませんが
911を無理矢理進化させ続ける、非効率で非合理的なエンジニアの根性を愛してやみません。

フェラーリとの戦いは今後本当に見物ですね。

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