昨日、納車となりました。
野望としてきた「20代でポルシェに乗る」をギリギリで実現できました。
因みに脱ダメ人生5ヵ年計画の3年次目標もこれでクリアです。
しかし、もう、何と言うか。行き着くところまで逝ってしまった感が我ながら。
ポルシェを運転しながらの帰り道、感激や感動は勿論ありましたが、同時に、もうこれで私が物質的に「絶対に欲しい」と思う物がなくなってしまった事による、妙な虚脱感というか感慨というか、言葉では表現しようの無い感覚に囚われました。
もう物質的欲求はこれで完全に満足です。にも関わらず何かこう、片手落ちなこの感じ。
マズローの欲求階層論は本当に正しいなぁと意味の分からない事を思いながら帰ってきました。
さてそんな話は別にどうでもよく、じゃあポルシェ911(964)は、実際はどういう車かというお話。
まず、小さいです。カローラよりも20cmほど短く、3cm狭く、15cm低いそれぞれ
4245mm、1660mm、1310mm
因みにホイルベースは2270mmしかありません。カローラ比330mmマイナスw
今の感覚で言うととにかく小さな車です。重さは1380kg、これも現代の肥大した車に比べれば望外に軽い。そこに3600ccのエンジンをリアオーバーハングに吊るして走るわけです。
結果、前輪加重540kg後輪加重840kgというギャグとしか思えない超絶リアヘビー。
前後重量バランス?何それ?食えるの?www
今まで限りなく50:50の車にずっと乗ってきた人間としては車検証見た時吹きましたね。
これだけショートホイルベースで、無茶苦茶な重量バランス。数字だけ見てたらまともに走るわけがないのに、しかし、走ると凄い。本当にバイザッハの妖怪達は魔法でも使ってるとしか思えません。
さて能書きはこの辺にしてハンドル左にあるキーホールに華奢なキーを差し込んでセルを回しましょう。
数秒のクラッキングの後、後方から空冷水平対向6気筒エンジンが咆えます。まさに「咆える」という表現が適当な音。現代の感覚で言うと間違いなく五月蝿いです。私のマンションの駐車場に停める時なんか気が引けるくらい。
やたら反発力のあるオルガン式ペダルのクラッチを踏み込み、シフトを1速に入れます。かなり硬質なシフトフィール。まさしく鉄の棒を操作している感触です。
徐にクラッチを上げていきます。しかしなかなか繋がらない、もうちょっと上げる。まだ繋がらない。更に上げる、ようやく、半クラになります。アクセル上の右足をほんの少し、親指に力を入れるくらい少しだけ
アクセルを煽り、スルスルと発進。頭を下げてくださるお店の人に礼を言いながら、店を出ましょう。
大通りに出まして1速から2速へ。どうにもクラッチのミートポイントが浅いので感覚的にズレますが何とかシフトチェンジ、アクセルをゆっくり踏み込みます。ちゃんと普通に走ることに感動します。
2速→3速は比較的簡単。これはどんなマニュアル車でも共通ですね。普通に流れに乗って普通に走る分にはこの車、エンジン音が大きく、他は足が若干硬いくらいでしょうか。本当に普通の車です。
左に仁徳天皇陵を眺めつつ(大仙古墳と呼ぶべきでしょうか?)市街地を走り抜け、阪神高速堺線に乗ります。わざわざ手に入れたETCカードが役に立ちますね。
さて阪神高速随一のワインディングコースである堺線ですが、残念ながら車が多く、流れに乗ってゆっくり走るしかありません。で、ゆっくり走る限りにおいて、この車はただの普通の車です。
環状線、更に池田線も同様。全く踏めない。で、踏まない限り(ry
さて、豊中から名神に乗りましょう。しかし名神も車が多い。ゆっくり走るしかありません。が、時折前が開くのを見計らって踏んでみましょう。4速からクラッチ切って、アクセルを煽り、3速へシフト。
タコメーターは4000を示しています。ここが分水嶺。普通の車から「ポルシェ」に変わる時です。
アクセルを踏み込むと、この時を待っていたとばかりエンジンは咆哮し、それに呼応して狂ったように回転数と速度計が上昇します。一気呵成。数秒で3速を吹け切ります。4速シフト。と同時にトラックのコンボイに捕まり、ブレーキ。このブレーキが効く。本当に効く。ガツンと。で、また流れに乗って巡航。
ちょっとして、手にじっとりと汗をかいてることに気が付く。…この車はタダモノじゃないと。
緩慢な名神を忍耐を持って走り、天王山トンネルを抜け、そこから京滋バイパスに乗り換えます。
で、京滋バイパスの大山崎ジャンクション近辺は、400R~600Rが連続する超高速ワインディングです。
さて、踏んでみましょう。
3速では賄いきれません。4速へ。
普通に走る限り、速度がどうであれ、この車は徹底したニュートラル→アンダーセッティングです。
私がいつも営業車のパッソで走る速度(40)より20~30上までくらいなら、何も問題はありません。もっと積極的に曲がっていこうと思うと、どれだけフロント加重を増やすか、という事なのですが、911のリアを抜くなんてマネを4速の速度域でやって、それをコントロールする自信など1mgも持ち合わせていませんので、車任せのイージードライブ。それでもバカっ速。これ以上何を望むかというレベル。
さて京滋バイパスは久御山ジャンクションを抜けると、旧小椋池を干拓した巨大な水田をぶち抜く、弾丸ストレートになります。
では、踏んでみましょう。
4速を踏み抜き、5速へシフト。大台を超える辺りから、この車が、超リアヘビーのRRだと実感させられます。
即ち、どうにもならないフロントリフトの始まりです。前輪の接地感が無くなっていきます。リアタイヤでウィリーして走る感じ。直線ならいいですが、これでコーナリングとか死ぬなぁと思いながら、20、30まで引っ張って、最寄の宇治西出口500m看板を超えてからからブレーキ。これがやはり効く。流石。
で、無事に家に到着。駐車場に停める。しかし、これが難儀。とにかくハンドルが切れません。全く小回り効きません。
何せ最小回転半径が5.6mもあるですよこの車。つまり、カローラより小さいくせに、レクサスLS(セルシオ)とほぼ同じてwww
……そりゃなぁレーシングカーはUターンしないもんなぁ
これだからレースカーを作る理屈でロードカー作る連中は。
と、そんな感じで帰りの市街地、高速ドライブを完了しました。街乗りの範囲では本当に普通の車です。
しかし4000超えると化けます。
宇治川ラインを走った感想は、長くなったのでまた今度。
おまけ
純正車検証入れ(革製)どんなポルシェ本より詳しい全120ページに及ぶマニュアルと、キー。このキーについてる銀色のクレストは絶版になっていて貴重とのお話です。