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擬人化

は日本人特有の奇特な習性ですねこんばんは。
まぁ擬人化とまではいかなくても、物に固有の名前を付けるってのも、或いは日本人特有かもしれません。
私は前の愛車に「アルピナ号」という、そのままストレートではあるものの、何かちょっと愛嬌のある名前をつけてそう呼んでました。
で、今回も名前をつけてやろうと思ったのですが、これがなかなか決まらない。
「ポルシェ号」はおかしいし、「911号」も「964号」も、新手の人造人間みたいで何か違う。
「ポル」とかは漫画で既出ですから嫌ですし、「カレラ2号」じゃ間延びする。
…と、色々悩んだ結果、略して

「カレラ号」

にしました。
ポルシェ911のノーマル車に、最近では普通に使われる「Carrera(カレラ)」という名前ですが、元をただせば「カレラ」ってのは「レース」を意味するスペイン語です。
「カレラ・パナメリカーナ」
という50年代の公道レースがその由来。由緒あるその名をポルシェが911につけたのは、あの「ナナサンカレラ」こと73年型カレラRSが初代。
その後、74年のアメリカの衝突安全基準と排ガス規制(マスキー法)への対応のための「ビッグバンパー(俗に言う930型)」へのモデルチェンジに伴い、「カレラ」は911のトップグレードとして77年まで販売されますが、78年から83年までの6年間はカタログから「カレラ」の名前は落ちてしまい、その時代の911は基本的に「ターボ」と「SC」のみのラインナップです。
その背景に何があるかといいますと、当時のポルシェの逡巡があります。というのも

「RRなんてクソレイアウトやめちまえ運動inバイザッハ」
或いは
「アメリカで売れる車を作らないと死ぬ」

という非常にシビアな事情。
そんな時代に作られた「新時代のポルシェ」は「FRスポーツ」でした。
即ち、ポルシェ924(75年発売)ポルシェ944(81年発売)、ポルシェ928(77年発売)
特に5リッターV8をフロントに積む928は911の上位グレードとしての触れ込みでした。
「カレラ」のカタログ落ちと「928」の発売が重なるのは非常に象徴的ですね。

が、周知のように、世界が求める「ポルシェ」はあくまでも、あのカエル顔の「911」でして、せっかくクソ真面目に作りこんだFRポルシェは全部泣かず飛ばず。ポルシェ涙目。

で、よし分かったと。
テメェらみたいな成金馬鹿共はこれでも乗ってろ…とまで思ったかどうかは知りませんが、84年、それまでのシャシーとギアボックスに無理やり3.2リッターを載せたモデルに「カレラ」の名を引っ張り出して、911を大いに売り捌きました。
そして88年まで「カレラ」の名は使われ、私が乗る964型へのモデルチェンジ、つまり89年、量販ポルシェ初の4輪駆動登場の際に「カレラ4」とそれを名付け、一方で90年発売のRRの2輪駆動は「カレラ2」というように、名前で駆動方式を表す方法を取り、その後、空冷最後の993型、水冷初代996型、そして現行997型と、全て「カレラ」の名前はその法則で継承されてます。

「カレラ」と言う名前はこのように、ポルシェの紆余曲折を背負う大変奥深い名前でして、まぁ愛称に使用するのにはもってこいかな、と。

うん、まぁなんだ。ほんとは名前の話は軽く触れるだけで、峠道やらのインプレ話をしようと思ったのに、気づいたらこんな量になってしまいました。これでもだいぶ端折って書いたのになぁ…

因みに「カレラ号」って「迦楼羅王」みたいで厨二っぽいですよね。
あと迦楼羅王と聞いて二十八部衆ではなく、某漫画を連想した人は、迦楼羅飛天翔を食らって死にます。


……駄目だ。今日の話は色々な意味で一般人を余りにも無視しすぎました。以後気をつけます。ほんとかよ。

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