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振休が

取れたタイミングで「天気の子」を見て来ました。こんちは。
さて、可能な限りネタバレなしで行きたいと思いますが、結論から申しますと、私は新海誠を見直しました。こういう映画を、君の名は。の後で作ることが出来る。その筋金入りのキモオタ魂に感動しました。
「ポスト宮崎駿なんて興味ない。俺は俺だ」
「俺が作りたいのはこういう映画だ」と。
よく表現の世界において、どこまで「真摯」に作品作りに没入したかを示す、下品な例えとして「フルチンになる」という言い方がありますが、もうほんと、それはそれは見事なフルチンでした(褒め言葉)

これは新海誠の、この狂った世界に対する自分の姿勢を示した、極めて私的な、自分の為の映画です。
しかし、エンターテイメントとしてのギリギリの一線はしっかり守ってます。
こと分けても、雨の描写。都市の描写。空中での浮遊感などなど、アニメーションの水準が凄まじい。新海作品の背景描写の美しさはもはや伝統芸ですが、今回のそれには瞠目させられました。IMAXで見ましたが、ホントに自分が空の中に居るかのような錯覚に囚われそうになる、そのくらいのレベルです。
一方で、極めて冷徹に今の日本を描写しています。
主人公たちには主人公補正によるファンタジーの力がありますが、そんな力を持たない普通の、無力で無知な若年層であれば、極めて容易に都市の陥穽に落ち込んでいくであろうことが透けて見えます。共同体の規範から外れて生きることは、まず不可能であることが冷たく陰鬱に描かれる息苦しくも真っ当な世界。主人公は、家出の高揚感でそれを感じていませんが、この映画は単純なエンターテイメントでは決してありません。
そいういう真っ当ながら狂った世界を覆う「空気」に対して、主人公(=新海誠)は何を選択するのか。オチに対して賛否があるようですが、その議論はナンセンスです。
この物語は徹頭徹尾、新海誠の新海誠による新海誠の為の映画ですから、あのオチしか有り得ない。

さて、新海作品の世界は、基本繋がっています。
これから先、どうなるのか?この「東京」が、これからの新海作品の舞台になるのか?ああなってしまった東京で、果たして、どうやって孤独や すれ違いを描くのか。非常に興味深いですね。
ですが、不安はありません。新海誠は信じられる。これからも彼らしい作品を作ってくれると確信できます。
安心して気長に待つことにしましょう。
何れにせよ素晴らしい新海誠でした。本当に有難うございます。

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