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オーディオど素人によるハイエンドオーディオ入門 その6【飛翔編】

絶品館(仮名)で、オーディオ専門店の洗礼を受けつつ、自分の音の好みと値引き率を知った私は試聴フィールドをヨドバシ梅田に変更し、都合3回くらい、本当に色々試させて貰いました。
まずアンプとCDプレーヤーですが、LUXMAN、DENON、YAMAHA等々をそれぞれ比較し(AIRBOW 憎けりゃMarantzまで憎い。の理屈でMarantzは除外。ならDENONもダメじゃねーかというツッコミは無しで)その中ではLUXMANが個人的には最もよく感じました。アンプはL-550AX2、CDプレーヤーは確かにD-06uは素晴らしいですが幾らなんでもCDプレーヤーに50万はかけられない。半値に近いD-05uで私には十分と思われます。

さてスピーカーです。
念のためB&Wのブックシェルフ型の最高峰805D3も聞いてみました。流石にCM6 S2とはまるで次元が違いますが当然方向性は同じです。とにかく明確。しかしどうしたことか私の好みに合わない。
カメラでもシグマのレンズが嫌いな私は、オーディオでも解像度命系は好みと違うようです。てか、そもそも予算が全く合いません。(スタンドと合わせたら約100万円です)
では特にクラシックに強いと言われるTannoy、DALIはどうか。それぞれフロアスタンディング型を聞いてみる。値段は805D3の遥か下にも関わらず、個人的にはこちらの音の方がまだ好みに合います、が、それでもまだピンと来ない。私の中でやはりVienna-acousticsのハイドンの音がまだ強く残っていました。
では、その上位機種「Mozart Grand Symphony Edition」(以下 モーツァルト)を聴いてみましょう。
…弦が美しい。本当に美しい。DALIのRubicon6と比較しても、弦の響きが明確に違う。Tnnnoyのフロアスタンディング(名前忘れました)と比較してもオーケストラの広がりが違う。そして同社のハイドンと比べると低音の力強さ音場の広さが格段に違う。これは凄い。モーツァルトでこれなら更に上ならどうなるのか。いや全体予算的にはもうモーツァルトでいいのではないか?店員さんに聞いてみますと3wayになるベートーヴェンは低音は勿論、全体のスケール感が更に大きくなるとのこと。ただし、ヨドバシには試聴機なし。
またVienna-acousticsより弦が美しいスピーカーメーカーはありますか?と問いますと、PIEGAがお勧めとのこと。スイス製でリボンツイーターの原理がどうにもよく分からないあのPIEGAですかそうですか、でもお高いんでしょう?ええとっても。これもヨドバシでの取り扱いがないとのこと。こういう商売っ気の無い本音で教えてくれる店員さんは本当に有り難いです。

さてしかし金額的な事を考えると、やはりVienna-acousticsがベストなのか。ただ私には一つ気になるスピーカーがありました。DYNAUDIOの40周年記念モデル「Special Forty」(以下SP40)です。
当然ヨドバシには置いてない。ですが、調べると日本橋にあるオーディオ専門店河口無線で試聴可能。
ということで、CDを幾枚か持って実際に行ってみました。
店員さんにSP40を聴きたい旨、伝えると極めて快く案内して頂きました。SP40は意外と小型なブックシェルフ。高そうなAccuphaseのプリメインアンプ(型式忘れました)、外国の超高額なCDプレーヤー(これも名前忘れました)に繋がれており、私は愛聴盤であるブルックナー5番の究極の名演(ヨッフム=アムステルダムコンセルトヘボウ1986年)その第4楽章をかけて頂きました。さて試聴はあくまで試聴。ですので初めは数分で切り上げるつもりでした、が、しかし。
鳴り始めるともう、とても途中で切れません。凄い音です。リアルです。スピーカーが確かに消え失せ途轍もなく広い音場が広がります。感覚としてはコンサートホールの中央、少し後ろの席で聴いている感じです。途中から「スピーカーの試聴」という感覚は完全になくなり、音楽に浸ってしまいました。素晴らしいブル5。
そして、これは今でも明確に思い出せますが、最終のオケ全体の強奏によるコーダ。もう完全に、目の前にアムステルダムコンセルトヘボウが居ました。鳥肌が立つどころではなく、私は涙がこぼれるのを必死に我慢する始末。
これはとんでもないスピーカーです。申し訳ないことに結局第4楽章をまるまる聞いてしまいました。
もうこれでいいんじゃないかと、殆ど決断を下しそうになったのですが、次にかけて頂いたフルトヴェングラーの戦中録音のベートーヴェン7番が残念ながら全てをひっくり返しました。何せ酷い。音が耳にナイフのように突き刺さります。録音の悪さがモロに出て全く聞けたものではありません。これは本当に困った。フルトヴェングラーが聴けないのは致命的な大問題です。
…いやこれは特に厳密な音を作るAccuphaseだから不味いのか、Luxmanならもしかするとマシかも…などと考えますが、何れにせよスピーカーの特性は変わらない訳ですから、どうにも不味い。
と困っていると店員さんが、ソナスを聴いてみますか?とのこと。予算オーバーではありますが一度聞いてみたいスピーカーなので是非お願いしますとかけて頂きました。Olympica Iです。これが意外でした。というのもソナスファベールと言えば、過剰なまでの美音というイメージでしたが、このOlympica Iはモニター系とまでは行きませんが、どちらかと言うと解像度重視の音に感じます。ただそうは言ってもやはり弦の響きは美しい。先ほどSP40で全くダメだったフルトヴェングラーも、刺々しさが消え耳に心地いいです、が、どうにも何か違う。Vienna-acousticsで聴くベートーヴェンは、ちゃんとベートーヴェンなのですが、Olympica Iは響きが何かイタリアのノリというか何か釈然としません。まぁ多分に先入観による物なのかもしれませんが、オーディオは主観が全てです。そう感じるんだから仕方ない。

…困りました。SP40は素晴らしいスピーカーです。ブックシェルフでありながら、モーツァルトを超える実演感がある。ただ録音の瑕疵が見えすぎ私にとってそれは最悪の欠点です。となれば、やはりモーツァルトの上位機種「Beethoven Baby Grand symphony Edition」を狙うしかないか…
店員さんに心からのお礼を申し上げて、しかし心中複雑な思いで帰路についた次第。

というわけで、最も音を決定付けるスピーカー選びが遅々として進まない中、一方でもう決めていたCDプレーヤーについてヤフオクで極めて優良な出物があり(LUXMAN正規店の展示品の払い下げ。新品扱いで保証が付き値段は6掛け)私はそのD-05uを万難を排し落札しました。
さて家に届いて、CD部がぶっつぶれたBOSEのAWMに取り敢えず繋いで音を出して、心底驚いた。
…以前、半分冗談めかして、CDプレーヤーの重要性を語り、理屈ではそうだと分かっていましたが、まさか本当にここまで違うとは。
全く音が違います。鮮明さが半端ではありません。そうですね。例えば、その筋では有名な1945年1月23日ドイツベルリンにて録音されたギーゼキングによるベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番。これは現存するほぼ最古の「ステレオ録音」として有名であると同時に、演奏の後ろで、ドイツ軍による首都防衛のための高射砲の発射音が記録されていることで有名です。(Wiki先生によると12.8 cm FlaK 40(アハトアハトの後継のようですね) )
で、この砲火の音ですが、今までのAWMのCDプレーヤーでは「言われてみれば確かに聞こえる」というレベルでしたが
D-05uで聴けば、もう、完全に聞こえます。恐ろしくクリア。
と、まぁそのような音のクリアさもそうですが、それが刺々しい音にならないのが、流石はLUXMAN。
私は大いに満足し、アンプも当然、同社のL-550AX2、そしてスピーカーはまぁ恐らくベートーヴェンか或いはSP40にしようかと、ほぼほぼ決めていたある日、偶然書店にて購入した一冊の本が、全て、何もかもを根底から覆すことになるわけですが、もうほんといい加減長くなったので、また次回。

ハイエンドオーディオの歴史がまた1ページ。

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