ブラジルGPでした。
鈴鹿終了の段階で、もう今年の趨勢は決したわけですが
一縷の望みをかけてブラジルに臨んだミハエル。圧倒的なタイムで予選2回目を終えたまでは鈴鹿と同じ。しかし予選3回目、燃圧が上がらないトラブルに見舞われまさかの10番手スタート。
しかし、フェラーリ+ブリヂストンのパッケージはここインテルラゴスでも最強の様相。まだ勝負は分かりません。ミハエルなら優勝も有り得る。またここの1コーナーは毎度の如く接触がある難所ですから、アロンソのリタイヤだって可能性がないわけではない。
そして、スタート。
各車意外にも危なげなく1コーナーを抜ける。ミハエルは右に左にマシンを振って4コーナーでBMW二台を料理、6位に順位を上げました。ウィリアムズ二台の同士討ちによるセーフティカー明け後の9周目、ミハエルはフィジコのインに飛び込みこれをパスするも、なんと左リアタイヤがバースト。
これで一気に最下位まで順位を落とすミハエル。
もう何と申しますか、ここに来て何故これほどまでに不運が重なるのか。
鈴鹿のブローはマカオでのハッキネンの恨み
ここブラジルの予選の不運は94年のヒルの恨み
そしてこのバーストは97年ジャックの恨み、或いはセナの嫌がらせか。
もうそんなことしか思い浮かばないくらいの不運悪運凶運の連続です。
しかし、そこからミハエルの爆発的な猛追が始まります。
他のドライバーより1秒以上速い全く異次元なラップを延々刻み、2回目の
ピットの頃にはもう7番手にまで復帰。バリチェロを交わし、フィジコに迫ります。プレッシャーにプレッシャーをかけ続け、結果フィジコは1コーナーをオーバーラン。確か3年か4年くらい前のアルバートパークでもこんなことがありましたね。
5位まで上がったミハエルの前方には、来年からミハエルの後を継ぐライコネン。残り5周最終コーナー立ち上がり一気に差を縮めるフェラーリパワー、しかしライコネン、インにラインを変えてこれを防ぐ。丁々発止の攻防が繰り広げられ大歓声のインテルラゴス。そして残り4周。スリップに完全に入るミハエル。ライコネンはもう昨周同様にインに寄せてラインを塞ぐしかありません。しかしミハエル、そこから更にインを突きます。コースサイドのコンクリートウォールぎりぎり。ウォールとライコネンとの隙間は3mも無いでしょうか。そこにノーズをねじ込みます。
凄まじいサイドバイサイド。そこから、インベタのベタベタで1コーナー勝負。しかしミハエル全くアンダーを出さない。何故だどーなってんだ。
有り得ないコーナリング。ライコネンもドアを閉めようがありません。
ミハエルついに前に出ます。
私はもちろん叫びましたよ。叫ぶとも。とんでもないオーバーテイクです。
今年のF1の全オーバーテイクの中で最も素晴らしいそれでした。いや
ミハエル自身にとっても、ここまでのそれは、そうそうないのではないでしょうか。
結果、優勝はマッサ、二位アロンソ、三位はバトン、そして4位ミハエルでした。
ブラジル人ドライバーによる母国優勝はセナ以来の13年ぶり。マッサおめでとう。
そしてアロンソ。ワールドチャンピオンです。おめでとう。よくやりました。素晴らしい。
来年からマクラーレンに行って、常勝軍団を復活させてください。
バトン。もういいからウィリアムズに逝け。来年からは絶対トヨタより速いから。
さて。
ミハエル・シューマッハです。
私は正直、2000年以降、何の面白みも無いドライブを続けるこの男が、あまり好きではありませんでした。
しかし、去年、そして今年。
人は逆境にあってこそ、その本性と言うか、有り様が問われるわけですが。
どんな状況にあっても、常に全力で、勝利の為に出来ること全てを行う。
私はミハエルのそんな姿を見、彼への評価を改めました。
そしてこの最後のレース。最後の最後。本当に最後の瞬間まで、ミハエルは一瞬たりとも力を抜くことをせず、走りきりました。
勝利こそ手に入れることはできませんでしたが、その姿勢は、まさしく王者のそれ。
セナ亡き後の12年間。F1のトップを走り続けた男。
偉大なるチャンピオン。
素晴らしかった。本当に素晴らしかった。
私はこんなドライバーが現役で走り、伝説を生成する過程を見られた事を本当に幸運に思います。
さて、ミハエルの影に隠れましたが、実は裏でとんでもないことをやらかしたのは琢磨です。なんと10位フィニッシュ。
有り得ません。スーパーアグリですよ?あんなボロ車で(失礼)お前はカペタか?
だってラップタイムなんてライコネンを食ってんですから。異常です。
常識的に考えて有りえません。アフリカでもめったにありません(イミフ
カラーリングだけアグリで、実はホンダワークスとかじゃなきゃ納得できません。もうもったいない。ほんともったいない。頼むから来年ホンダに乗ってくれ。
バトンなんて追い出しちまえ(ぉ
と、まぁ大変色々ありましたが、今年最後のF1グランプリもこれにて
終了。
私は来年から大手を振ってフェラーリを応援します。