タイトルからして意味不明ですが、色々あって所謂「ハイエンドオーディオ」と呼ばれる深淵な世界に足を突っ込むことになりましたので、その備忘録というか、事の顛末を少し書き連ねてみようと思います。
深淵の先人達には冷笑の的かと思いますが、それはそれで。
さて若者どころか全世代に跨る「オーディオ離れ」が進む昨今ですが、私の世代がたぶんオーディオというものにある種の憧れを持った最後の世代ではなかろうかと思います。
例えば、我々の高校時代所謂「ラジカセ」は誰もが持っていましたし、その上を行く「ミニコンポ」は皆が憧れ、しかし金などあろう筈がなく、なんとか頑張っても最廉価のaiwaがギリギリ射程距離、そんな時代です。
私も無論同様の道を進みます。大学に入ってバイトをした金で買ったのは、MDとか色々付いたPIONEERのミニコンポでした。こいつには大変お世話になりましたね。大学から、就職、一人暮らしを経て、転職し実家に戻り、結婚して実家を出るまでずーっと一緒でした。今でも実家にあります。
さてしかし、PIONEERに満足していたかというと、残念ながらそうでもなく。当時の私の最大の目標はONKYOの「Intec275」でした。初めてこのシステムの音を聞いたのは家の近くのジョーシンだったか。あれは衝撃でしたね。うちのとは雲泥の差。そりゃそうだ。価格は3倍違いますから。
ただどういうわけか縁がなく。私は大学四回生の最後の冬に、バイト先のTSUTAYAにBOSEの代理店営業を呼びつけそこでAWMという空気清浄器の化け物のようなラジカセを買った訳です。約30万。
躯体上部に前後左右合計6つのツイーターを設け、当時流行りの「立体音響」を実現し、パイプオルガンに着想を得たとか言うアホのように響き渡る「低音」を躯体下部から捻り出すシステムです。
今でもBOSEで売ってるコンパクトなシステムがありますが、アレの元祖ですね。
これはこれで悪くありませんでした。というか、今まで約15年間ずーっと使ってきました。今も私の横でカザルスのチェロが鳴ってます。
ちゃんと配置すれば音場の広がりと定位もさして悪くありませんからね。(この意味不明な専門用語の説明はまた後程)
さてそんな私をまた驚愕させるシステムが現れます。以前ここでも書いたことがありますが
ONKYOのA-1VL、C-1VLがそれです。
http://pasture.s59.xrea.com/cgi-bin/cdiary/diary.cgi?no=418
所謂「デジタルアンプ」というものですね。これには心底驚いた。
音の質感はさることながら「スピーカーから音が聞こえない」ということに衝撃を受けました。
…何を言っているか分からない?ですよね。ふつう、音楽をオーディオで聞けば、当然左右のスピーカーから音が聞こえますよね。しかし、このコンポは違いました。スピーカーからではなく。左右のスピーカーの
真ん中から音が聞こえる。そしてその音色が半端ではない。これにやられた訳です。
…これが今思えば過ちの始まり。
たぶん、ここが、一般的なオーディオとピュアオーディオと呼ばれる泥沼の世界の境界かと思います。
「スピーカーの存在が消え、音が違うところから聞こえる」
最も分かりやすいのはオーケストラの交響曲です。左右のスピーカーではなく、眼前(耳前?)にコンサートホールが広がる(そういうのを「音場が広い」と表現します)そして実際のオケの配置通り、向かって左にヴァイオリン、センター右寄りにチェロ、右に第二ヴァイオリン、中央後ろに金管などなど。その場所で鳴っている楽器の位置が正しく定まる(これを定位がいいと表現します)
もし皆さんの家の近くに、オーディオ専門店は敷居が高いですから置くとして、ヨドバシなんかの旗艦店があれば、そこにはピュアオーディオ売り場がありますから、冷やかしに行ってみてください。
数々のスピーカーが林立し、これ見よがしに馬鹿でかい音量で鳴り響いていると思います。
そしてそれは大概、上記したような鳴り方をしていると思います。
それにやられたら最後。見て見ないふりをするか、足を踏み入れるか…
…ここから先は、その誘惑に負け、足を踏み込んでしまったド素人の物語です。
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