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真面目な話は

飽きましたので、クルマの話をしましょう(ぉ
何がいいかな、ベンツの話をしましょう。ベンツ。ベンツ。皆大好きブランドブランド。えーっと長くなるので結論を先に言うと、今のベンツは、ベンツじゃないです。一般にイメージされる「メルセデス」はもうどこにも存在しません。馬鹿高いトヨタ車と思っていただくのが適切です。
ベンツのかっこしてベンツマーク(スリーポインテッドスター)つけるだけでトヨタの倍額以上で売れる。ボロイねぇ。ほんと。

じゃあ具体的にどういうことか。

ダイムラー・ベンツというメーカーの作るメルセデスという車は、かつて世界一でした。かつてと言ってもほんの15年くらい前までの話です。最近とんと聞かなくなった「最善か無か」という、余りにも分かりやすい哲学を本気で貫く、命かけた車作りをするメーカーでした。
グロッサーメルセデス、プルマンなどの伝説的名車を持ち出すまでも無く、いつの世もメルセデスSクラスは世界最高のサルーン、ミディアムクラス(Eクラス)は世界最高の実用車でした。

じゃあ約15年前に何が起こったか。セルシオの登場です。よく言われる「レクサスショック」です。セルシオは「異次元の静粛性」「革命的なメンテフリー」を実現し、それが高級車の世界に衝撃をもって受け止められたわけですが、その目に見える変革以外に、決定的な革命が高級車の世界に起こります。
それは「コスト意識」の芽生えです。
それまで高級車は、本当の意味で高級でした。求められる水準の遥か上を行く過剰品質で作られる。材料、設計、工程全てがそうでした。それが高級車の高級たる所以でした。そしてその高級車達の中でも、更に最高の超過剰品質がメルセデス・ベンツだったわけです。
しかし1990年代以降「如何に効率良く物を作り、売るか」という、全く新しい哲学が世界中に蔓延し始めると、過剰品質は「無駄」以外の何物でもなくなってしまいました。
結果、メルセデスは先々代のSクラス、同じく先々代のEクラスを最後に、別の車。別のメーカーになってしまったのです。

先代Sクラス(街中で今一番多く走ってるでかいベンツ)先代Eクラス(ちょっと角ばった四つ目)は、露骨なコスト削減をモロに受けた結果、完全無欠史上最低のS、Eクラスになってしまいました。そりゃそうだ。それまでコストなんて毛ほども気にしなかったのに、突然コスト削減なんて言われてもコストと品質のバランスなんて取れるわけが無い。
じゃあ今の、現行S,Eはよくなったのか?
よくなりました。先代に比べれば。あくまでも史上最低の先代に比べれば。先代よりコストと品質のバランスを上手く取れるようになったという意味において、よくなりました。

詳しく今のベンツのラインナップを見てみましょう。

一番小さいのは、テストでこけて有名になったAクラス。新型はどうだ?こけないか?
新型Aクラスをベースに少し大きくしたミニバン。ベンツ版bB、Bクラス。
190Eを始祖とする、セダンじゃ最小Cクラス。
見た目はEだが中身はC、ぼったくりクーペCLK。
ベンツの中核、かつて世界最高の実用車、今アッパーミドルサルーンと言う名のドル箱Eクラス。
ベンツの旗艦、かつて世界中の車の規範、今電子制御てんこ盛りのクスリ漬け費用対効果最高Sクラス。
Sはクソでもクーペはいける、Sベースの超高額クーペ、CL。
先代はSUVブームに乗って適当に作ってみましたカッコだけベンツ、現行はどうかなMクラス。
Bクラスじゃ小さいぞ、も少し大きなのが欲しい。Mベースのブサイク大型ミニバンRクラス。
どこから見てもどう考えても値段高すぎ。ワンボックスのVクラス
伝説のガルウィング300SLから続くメルセデスの威信、こいつだけは現行も凄いぞSL
マツダ・ロードスター人気にあやかり作った屋根は硬いがチャラいオープン、現行はマシ?SLK

さて、このなかで90年代、即ちベンツの暗黒時代に開発或いはモデルチェンジされたのは
初代A、先代C、初代CLK、先代E、先代S、初代ML、初代SLK
要するに殆どです。殆どが史上最低の時代に史上最低の車に堕ちたわけですが、じゃあ今、現行型はどうか。現行Eは、Sはどうなのか。
車の技術(特に電子制御系)コストと品質のバランスなどは、また世界最高のレベルに戻りました。じゃあいいじゃないか?ベンツは世界最高じゃないか?そうかもしれません。但し断じて違うと断言できることがあります。
決定的なのは先頃モデルチェンジした旗艦Sクラス。最近ちらほら町でも見かけるようになりましたが、しつこいようですが、Sクラスとはメルセデスの魂のような車です。その車がですよ。

何ですかあのトランクリッドの形状?もうまんまBMW7
更に何ですかあのインパネの並び?もうまんまBMW7
更に更に何だあのファンクションキー?完全無欠にBMW7

私は東京モーターショーで初めて実物を見たとき、もう本当にメルセデスは死んだと確信しましたよ。
BMW7といえば、ベンツSにとって不倶戴天の敵ですよ。絶対に何があろうが死んでも負けられない敵ですよ。その敵のデザインコンセプトや制御ツールをパクるか普通??一昔前のメルセデスなら、んなこと死んでも有り得ません。魂も哲学もあったもんじゃない。

・売れると思えば、敵の物でも、恥も臆面も無く平然とパクる。
・世界最高の電子制御、ギリギリピンポイントのコスト管理。

今のベンツはそういうメーカー、そういう車作りです。
さてこの特性、どこかで見たことありませんか?
そうです。我らがトヨタです。実質GMを抜いた世界最高の自動車メーカーにして世界最高超絶優良企業、トヨタ自動車株式会社ですよ。
レクサスに衝撃を受けたベンツは20年近くかけてレクサスに、トヨタになったわけです。じゃあトヨタとベンツの唯一にして最大の違いは何か?圧倒的なブランド力。それです。
トヨタが喉から手が出るほど欲しい、商売成功約束手形ブランド力ですよ。
今のベンツは、ベンツの顔とベンツマークをつけ、ブランド力でドーピングしたトヨタ車です。
んなものに莫大な金を払うならカローラに乗りましょう。全く金の無駄ですから。カローラ、いい車ですよほんと、いや嫌味じゃなく本当に。Aクラスなんか買うくらいなら絶対お勧め。軽く1万倍くらい価値があります。
今のベンツで本当にいいのはSLとCLですね。あとC、Eのごく一部の車種。Sは車としては良くとも魂が腐ってます。それでもいいならどうぞお好きに。

というわけで、ブランドの金看板の裏側にある本質は恐ろしくもトンデモナイ世界、というお話。
…知らないほうが幸せな話とも言う。

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