再セットアップディスクを送ってもらい、見事ノートパソコンが復活
しました。電話で位置を説明し、且つ写メで確認しただけあってマイ母を
しても間違えずに送ってくれたわけでIT万歳。
ちょうどその日はWindows Vistaの発売日であり、最新OSが登場した
まさにその日に型落ちOSを再インストというなんとも因果なお話です。
てか家のパソコンで私がする事といえばここの文章を書いたり諸々の動画を
再生することだけですから、98やMeは流石に微妙ですが、2000かXPで
あれば必要十分でありまして
あんなクソ重いOSには全く食指が動きません。
てかXPでさえも、私はクラシック表示にしてるくらいですからね。
…こんなことを言ってると時代から取り残されるのでしょうか。
まぁ来年以降、PCの性能がVistaを余裕で振り回せるようになる頃に買いましょうか。
さて、ではパソコン復活を記念して、ハルヒの第11話に関するお話をしましょう。
以下は今更ながら壮絶なネタバレ且つ黒歴史ですので、閲覧にはご注意を。
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さて「射手座の日」です。
筋としては、昔ハルヒにパソコンを強奪されたコンピュータ研究会(略してコンピ研)が
自作ゲームでハルヒ達にパソコン奪還を賭けて勝負を挑み、奸計を労するもブチ切れた長門に
敗れ去るというお話です。
要約すると3行で終わりますが、しかし面白い。大変面白い。エヴァで言うと13話「使徒、侵入」
的な面白さ。私がハルヒ全14話を通じて最も好きな回です。
例によって細部の作りこみが半端ないです。
私は冒頭部、学校の秋の風景を描いた絵の中で、微妙に濁った水のプールに落ち葉が浮いて
たのに感動しましたね。なんてリアルな表現。素晴らしい。あとお湯の沸かし方とか、
LANケーブルがちゃんと青いとか、パソコンのOSはちゃんとXPだとか、長門が光学マウスを空中で
動かす時にちゃんと光点が描かれてるとか、てか初めは空中でマウスを動かすダメッぷりだった
長門が日を追うごと成長し、最後にはブラインドタッチに、という流れはあずまんが大王のちよ
ちゃんを思い出しますね。
あと長戸が頷くシーンはちゃんと衣擦れの音が入ってます。何て暇なんでしょう。
そして何より長門がプログラムを打つシーン。有名な話ですがこのプログラムはダミーではなく
ほんとに走るらしいです。暇なんてレベルじゃねーぞ。
ttp://blog.proj.jp/ituki/20060615.html
また自作ゲーム「ザ・デイ・オブ・サジタリウス3」は、どうやら銀河英雄伝説のパソコン
ゲームの3作目のパロディらしく、操作系も似ています。またBGMにクラシックが使われている
のも銀英伝のパロディでしょうが、しかし単なるパロディに収まらないのがハルヒのハルヒたる
所以です。詳しく見ていきましょう。
冒頭部で流れるのは
ラヴェルの「ダフニスとクロエ」
第三部「パンの神とニンフの祭壇の前」より「日の出」
この曲はダフニスとクロエ全曲を通じて最も美しいですね。またこの音源はクリュイタンス指揮
パリ音楽院管弦楽団らしいです。
そしてこの演奏は同曲の決定盤として名高いものだったりします。
そんなクリュイタンスの死により、140年の歴史を誇るパリ音楽院管弦楽団は解散、しかし
時のフランス文化省アンドレ・マルローの提唱によりパリ管弦楽団が創設され、その初代指揮者
がシャルル・ミュンシュとなりまして、そして、あのブラームスの1番が生まれるわけですが、
それは置いておいて
クリュイタンス指揮のダフニスとクロエが圧倒的名演であることは疑いないです。また同じく
ラヴェルのボレロも同時期に録音していますが、しかしこちらは世紀の名演と呼ぶのは少々
無理があったりします。確かに小気味いい小太鼓や、オーボエ(ファゴットか?)がソロで吹く
主題部の圧倒的な美しさは素晴らしいの一言ですが、音を外している箇所があったりと微妙な
点があります。それであれば、ミュンシュがパリ管を指揮したボレロが個人的には良いですね。
迫力という点において圧倒的に勝りますし、総演奏17分8秒に及ぶ超スローテンポなのも好みに
合いますが、まぁこれはラヴェル本人に言わせると許し難いでしょう(ラヴェルはボレロを15分で
演奏するよう指示してます。トスカニーニと演奏時間を巡り口論になったのはその筋では有名)
さて、そんなボレロにインスピレーションを受け、作られたのが
ショスタコービッチの
交響曲第7番「レニングラード」
射手座の日では、ゲームBGMとしてその第一楽章より「戦争の主題」が用いられてます。
面白いのはイメージ戦闘映像の中で流れる7番はオケのもので、実際のパソコンからゲームBGM
として流れるのはその電子音版だということ。ちゃんと途切れなくシーン展開に繋がっているのが
大変素晴らしい。
しかしこの曲に関しては、決定盤が見当たりません。作中ではゲルギエフが指揮したものが使用
されているらしいですが、私が持っているのはロストロポービッチ指揮。ロストロポービッチは
ショスタコービッチの解釈に定評がありますし、またCDがたった1000円だったのが決め手(貧)
そして何よりクライマックス。長門がプログラムを書き換え~からの神展開を盛り上げるのは
チャイコフスキーの
交響曲第4番第4楽章の終曲部。
これがもうドンピシャではまり込みます。作中で使用されたのはムラヴィンスキー指揮
レニングラードフィルの物らしいですね。
これはチャイコフスキーの4,5,6番の音源の中でも非常に評価の高いものですが、お値段も高く、
私が持っているのはベーム指揮の同曲。しかし圧倒的にムラヴィンスキーのそれの方が切れ味鋭く、
非常に微妙。…くそ買っちまうか。これぞ安物買いの(ry
さて既に散々指摘されているように、同曲が使用されているのは、シーンの盛り上がりに
一致するのもさることながら、交響曲第4番の意味にこそその真髄があります。
チャイコフスキーが本心から愛しながらも結婚できなかった、年上の未亡人メック宛ての手紙の中
に、第4番各楽章ごとのテーマを詳細に書いてまして、第4楽章の内容は
「あなたが自分の中に喜びを見付けることができないのなら
自分の周りを見回してください。人々の中へ入って行ってください。
彼らが楽しみ、喜びの気持ちに完全に身を投ずるのを見てください。
何と彼らは喜んでいることでしょう。何と彼らは幸せでしょう。
この世の全ては暗闇で悲しいことだと言うのですか。まだこんなに沢山
素朴で飾らない喜びがあるではありませんか。
そして あなたはまだ生きることができるのです」
…如何でしょうか。これはもう正しく長門の心象に合致するもので、つまりこの場所で使われるに
相応しい曲は、これ以外に存在しないと断言できるほど完璧な代物です。
もはやチャイコフスキーはこの射手座の日の為に交響曲第4番を書いたと言っても過言ではないでしょう(ぉ
ちなみにこれ以外にも憂鬱6のクライマックスではマーラーの8番が使用されており
それもまた曲内容とシーンが意味的に完璧に合致している、という非常に考えられた選曲で
音楽監修者のセンスが素晴らしいですね。
第二期ではどんな具合に選曲してくれるのか、今から楽しみです。ていうかほんと第二期やってくれ。
なお上記クラシックのお話のソースは↓です。もっとつっこんで知りたい人は是非どうぞ。
ttp://blog.so-net.ne.jp/ORCH/archive/c5362149
というわけで、射手座英雄伝説は、もうどこを切ってもアンコが出てくる鯛焼きのように
大変旨味溢れる素晴らしいお話でした。これで騒ぐなというほうがおかしい(ぉ
なんか殆どがクラシックのお話になりましたね、あんまり黒歴史じゃないね(?)
さて、次回のハルヒ解説やるとしたら最終話「サムデイ・イン・ザ・レイン」
…黒い歴史がまた1ページ。